じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

淡路人形座(2)役者<人形遣い>吉田新九朗

先月の八日、初めての専用劇場としてグランドオープンした淡路人形座(あわじ にんぎょうざ)→http://awajiningyoza.com/ningyoza/。今回はその中で「役者」と呼ばれる、人形遣いのかたをご紹介したく思います。

   "Shinkuro Yoshida" photo(c)2012rn
名前:吉田新九朗(よしだ しんくろう)
出身:兵庫県、淡路島の南淡町(当時。現在の南あわじ市
年齢:43歳
職業:淡路人形座 役者(人形遣い
芸歴:29年目
http://www.awajiningyoza.com/ningyoza/introduction/staff/index.html#staff_tw(座員紹介のページ)
Profile: 淡路島の郷土芸能については子供のころから知っていたし、家族に連れられて自然に何度も観ていた。地元の中学校で三年生の時、卓球部顧問の先生が郷土芸能部を立ち上げた。卓球部に所属していたためかその顧問に誘われて何となく郷土芸能部に入った。卒業時には将来の道としてスタントマンを希望しており、その進路へ進むための試験にも合格していたが、一転して人形遣いの世界へ入ることを決意。

◎楽しかったこと、大変だったことは?
昔も今もお客さんに喜んでもらうことが何よりの喜び。足遣い(一体の人形を操る三人の人形遣いのうち、足を動かす役目)から始めて最初の二・三年は怒られてばかりだった。その後ようやく自分で考えることができるようになって精進してきたが、今は「自分で考えることができる」ということが、かえって自分にとってはキツくなっている。いくらでも考えることがあり、キリというものがないので。今までで一番のトラブルは上演中にかしら(人形の頭部)が折れたこと。代わりのかしらを使って何とか事なきを得た。

◎伝統についてどう思いますか?
受け継がないとあかん!自分の世代にとっては、すぐ上の人たちがいなくて、さらに上の世代の人たちに習ってきた経緯がある。中間の世代が不在で、ほとんど「見て覚えろ」というふうで苦労したところもある。しかし実際に興業としてお客様に観ていただくなかでの真剣勝負で、伝統を受け継ぎつつ「今のもの」として表現を磨いてきた自負もある。その中での伝統の緩やかな変化は、淡路人形が残っていくためにも、必要なものであるように思える。

◎読者へメッセージをお願いします。
世界の中で、ここでしか観ることができない素晴らしいものがたくさんあります。是非淡路島に来て実際に淡路人形座を観ていただきたいです。出張公演も行っていますので、皆さんの街へ伺うときもあるかもしれませんよ。出張でしかやらない『戎舞(えびすまい)』という私も大好きな楽しい演目もあります。


(写真)舞台の裏側、下手に配置されたたくさんの人形たち。そして、公演の本編最後に登場する淡路人形独特の舞台演出「道具返し」の仕組みを、舞台裏で吉田新九朗さんにみせていただきました。すべて手動で、役者さんたちが操作しています。



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淡路人形座(1)写真でご紹介 - じゃぽブログ

(J)