じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

ハンガリー・オーストリア地歌公演(4)

「ハンガリー・オーストリア地歌公演2012」速報!(◆)
「ハンガリー・オーストリア地歌公演2012」その2(◆)
「ハンガリー・オーストリア地歌公演2012」その3(◆)
とお伝えしておりますが、本日は「その4」です。
先月9月16日、ハンガリーの「グンデル(GUNDER)」というレストランの2階に演奏会場があり、そこで地歌公演の2回目が行われました。



会場とリハーサルの様子
今週は、演奏の本番の模様をお伝えしたかったのですが、本番写真のデータを入手出来なかったので、本日もまた余談をお話しさせていただきます。
今回ハンガリーでは、ジプシー音楽を聴くことが出来ました。ハンガリーには「ジプシー楽団」とよばれる演奏家の方々がたくさんいらっしゃって、レストランなどで演奏をされているそうです。この度聴くことのが出来たのは、プカ・カロリさんのバンド。バンドの名前は「〜さんのバンド」と呼ばれるそうで、「KAROLY PUKA & his Gipsy Band」。プカさんのバンド編成は、プカ・カロリさんのバイオリンの他に、ヴィオラコントラバス、ツィンバロンでした。他にもセカンドバイオリンや、クラリネットなどが入る編成があるそうです。
中でもツィンバロンは初めて演奏を聴いたのですが、見た目はピアノのようで、奏法は鉄琴のようでした。そしてハープのような不思議な響きを持つ打楽器です。鉄琴は左が低い音で、右にいくにつれて高い音になりますが、ツィンバロンは、ピアノのように演奏者が座るのですが、手前が低い音、そして演奏者から離れた位置が高音となっているようでした。演奏の様子を眺めていましたが、超絶技巧で目が点になってしまい、よくわからなかったのですが、左右の列で半音階づつの鍵盤となっているようにも見えましたが、実際はどうなのでしょう?音域は4オクターブとのことです。


(ピントがあっていませんがツィンバロン演奏中です。)
演奏は、ブラームスハンガリー舞曲」、サラサーテツィゴイネルワイゼン」、モンティ「チャルダーシュ」、ディニーク「ひばり」などです。演奏速度が早い!です。私たちが日本人とわかると、「荒城の月」や「さくらさくら」を演奏してくださいました。
帰国してから別件で「荒城の月」を調べていたところ、ウィキペディアに、『滝廉太郎の原曲は「花のえん」の「え」の個所に#がある。即ち短音階の第4音が半音上がっているが、これはジプシー音階の特徴で外国人は日本の旋律ではなくハンガリー民謡を連想する。それを避けるために山田※は、三浦環に編曲を頼まれた時、#を取った。』(※山田耕筰)という記述がありました。
それを読んでから、《ハンガリー舞曲 第5番》と《荒城の月》がぐるぐると頭の中をまわってしまい、同時に歌い出したら『六段とクレド』(◆)と同じくらいピッタリ重なる!と、ハンガリーと日本の共通点を見つけて秘かに喜んでいます。
プカ・カロリさんのCDです。

(制作担当:うなぎ)