じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

東洋音楽学会 第63回大会

毎年秋に二日間にわたって開催される東洋音楽学会の大会が、今年は来月11月10日(土)・11日(日)、東京の国立音楽大学で開催されます……とはいっても、研究発表やシンポジウムなど基本的に会員のための大会ですが(*)、毎年初日の午後、一般の方向けの「公開講演会」が開かれています。これが毎回注目すべき内容で、邦楽や東洋音楽に関心のある方にとっては見逃せないものとなっています。

今年は宮田まゆみさんの講演と伶楽舎による演奏。

(*) 各プログラムは一般の方でも参加可能な場合があるので、詳しくは東洋音楽学会のホームページ()をご参照下さい。


 

第63回 東洋音楽学会大会 公開講演会
日時: 2012年11月10日(土)13時開演(12:30開場)
会場: 国立音楽大学講堂大ホール
(西武新宿[拝島]線・多摩都市モノレール玉川上水駅より徒歩約8分)
入場料: 会員=無料、会員以外=1,000円(資料代。ただし、竹内道敬文庫展観と共通)
【第1部】 13:00 講演
国立音楽大学附属図書館所蔵 竹内道敬文庫 ―コレクションの成立まで―」/竹内道敬氏(元国立音楽大学教授)
【第2部】 14:10 講演
雅楽の現在」/宮田まゆみ氏(笙奏者、国立音楽大学客員教授
【第3部】 15:05 雅楽演奏
(1)管絃「平調音取[ひょうじょうのねとり]」、「皇麞 急[おうじょうのきゅう]」
(2)催馬楽「恋せよ」(竹内道敬 作詞/芝祐靖 作曲)
(3)管絃「陪臚[ばいろ]」
(4)舞楽「還城楽(右方)」
現代曲 笙独奏 宮田まゆみ氏
(5)野平一郎 作曲「内面の声」、細川俊夫 作曲「光に満ちた息のように」

(1)、(2)、(3)、(4)演奏=伶楽舎
(5)演奏(笙独奏)=宮田まゆみ

主催・問い合わせ先: 一般社団法人 東洋音楽学会(電話 03-3832-5152)
共催: 学校法人 国立音楽大学
http://tog.a.la9.jp/meeting.html 

以下は、大会パンフレットに掲載されている、演奏曲目についての解説です。

演奏は古典から現代までの種々の作品で構成しました。管絃では、「平調音取」に続いて、「陪臚」と「皇麞 急」の2 曲を選びました。「陪臚」は華やかな舞楽組曲として、また「皇麞 急」も長大な大曲の一部ですが、どちらも単独でも演奏される、よく知られた名曲です。また、管絃の歌物に、今回は特別に、竹内道敬作詞、芝祐靖作曲の新作催馬楽「恋せよ」(1995年)を演奏します。「恋せよ 恋せよ 明日恋せよ」と万葉の世界にも通じる自由な歌詞が伸びやかな旋律で歌われます。舞楽は右方の「還城楽」です。蛇を手に喜ぶ様が特徴的な一人舞で、「小乱声」、「陵王乱序」、「当曲」(夜多羅拍子)、「案摩乱声」から成る、勇壮で闊達な舞楽です。最後は、今日の作曲家による笙の独奏曲、野平一郎「内面の声」(1989 年)、細川俊夫「光に満ちた息のように」(2002 年)の2 曲を入れました。ともに宮田まゆみ氏によって初演され、国内外の音楽祭等で再演されてきた曲です。

(堀内)