じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

第32回伝統文化ポーラ賞

今年も伝統文化ポーラ賞の贈呈式に伺ってきました(2012年10月10日 ANAインターコンチネンタルホテル東京)。

伝統工芸技術や伝統芸能、あるいは民俗芸能・行事など無形の伝統文化に貢献し、今後も活躍が期待できる個人または団体を顕彰する伝統文化ポーラ賞は今年で32回を数えます。
伝統芸能の分野では、人形浄瑠璃文楽人形の吉田玉女(たまめ)さんが優秀賞を、柳川(やながわ)三味線の林美音子(みねこ)さんが奨励賞を受賞されました。

贈呈式に続いて受賞記念の催しがあり、芸能学会会長の三隅治雄先生の解説のもと、まず地域賞を受けた「江差追分(えさしおいわけ)」「数河獅子(すごうじし)」「鹿子原虫送り踊(かねこばらむしおくりおどり)」のVTRが上映されました。続いて林美音子さんの演奏、最後に吉田玉女さんが「一谷嫩軍記 三段目 熊谷陣屋」を披露しました。
林美音子さんは昨年度、当財団の邦楽技能者オーディションに合格してCDが出ています。→じゃぽ音っと作品情報:柳川三味線/林美音子(第12回邦楽技能者オーディション合格者) /  林美音子
31歳と今回の受賞者のなかではダントツに若いのですが、江戸時代初期の屏風などに描かれているままの姿をのこし、京都にのみ伝わる柳川三味線の伝承と振興に努めています。加えて「地歌箏曲家としても演奏に精進し、出身の奈良教育大学で得たノウハウを生かして、次世代の担い手の育成にも尽力している若手の逸材である」ことも選考理由で評価されています。

柳川三味線を生で聞くのは初めてでしたが、地歌三味線とも違う、独特の温かみのある音色でした。また、この日は作物(さくもの)という滑稽な歌詞が特徴的なレパートリーから「たぬき」を演奏されましたが、歌の迫力に引き込まれた人も多かったようです。
林美音子さんは10月28日(日)、京都府府民ホール ALTIで伝統文化ポーラ賞奨励賞受賞記念の地歌リサイタルを開催します。→公演情報:林美音子 地歌リサイタル(第32回 伝統文化ポーラ賞奨励賞受賞記念)【日本伝統文化振興財団 じゃぽ音っと】 今後の活躍に注目したい若手演奏家の一人です。

平成24年度 第32回『伝統文化ポーラ賞』受賞者一覧
【優秀賞】
山下 義人(香川県) 蒟醤(きんま)の制作・伝承
吉田 玉女(大阪府) 人形浄瑠璃文楽人形の伝承・振興
【奨励賞】
鈴木 徹(岐阜県) 緑釉陶器の制作・継承
林 美音子(京都府) 柳川三味線の伝承・振興
【地域賞】
江差追分会(北海道) 江差追分の伝承・普及
田中 信行(東京都) 漆刷毛の製作・伝承
数河獅子保存会(岐阜県) 数河獅子の保存・伝承
鹿子原虫送り踊保存会(島根県) 鹿子原虫送り踊の保存・伝承
新里 玲子(沖縄県) 宮古上布の制作・振興

関連リンク 柳川三味線をご紹介します - じゃぽブログ

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