じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

中村勘三郎『襲名十八代』


先週の水曜日、12月5日に満57歳で亡くなった歌舞伎役者、俳優の十八代目中村勘三郎(じゅうはちだいめ なかむら かんざぶろう)さん。
2005年5月初版発行の書籍『襲名十八代 これは勘三郎からの恋文である』(小学館)を読み返しました。この本は2003年6月から2005年2月まで、スポーツニッポン新聞に「勘九郎かわら版」として掲載された記事を補筆、構成したもの、とあとがきにあります。この2005年3月3日に歌舞伎座で十八代目中村勘三郎を襲名されていたわけですね。
歌舞伎座のこと 芝居のこと」「とっても素敵な人たちと」「遊びも仕事のうち」と三つの章に分けて、歌舞伎座、ニューヨークの平成中村座、大阪の松竹座、心斎橋のバー「メリケン・ジャップ」などで勘九郎さんが語った言葉を文章に起こした体裁になっていて、あいだに大竹しのぶさんら四人それぞれによる「おめでとう新勘三郎」という文章が入ります。本編の最後にはビートたけしさんとの対談も収録。
読んでいておかしくて何回も吹き出してしまったのですが、一方、この本のなかで多くの<夢>が語られていて、悲しくなる一冊でもありました。「命が続く限り登り続けますよ」(p.52)などのポジティブな言葉が溢れています。
本名は波野哲明(なみの のりあき)さんというんですね。略して波ノリ、とかで得意の水上スキーをやられている写真も掲載されていました。(p.236)

(J)