じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

紡ぎ合う日韓の古典芸能

先週、草月ホールで開催された韓国舞踊のさまざまなジャンルの一流演者が集結した稀有な公演「舞天」を観て圧倒的な感銘を受けたばかりですが(過去記事「12/14@草月ホール 韓国舞踊 舞天」)、今度は日本と韓国の古典芸能のトップクラスの演者による、舞踊と音楽の粋を集めた貴重な公演のご紹介です。

 


主催は、日韓両国の優れた学者と芸術家が共同で結成した同公演の実行委員会。「日本と韓国との古典芸能分野における芸術・学術交流を目的として、国際交流協定提携校にある東京藝術大学と韓国芸術綜合学校の教員を中心とした公演を開催します。」とのこと。両国の伝統文化を創造的に捉えた、まれに見る高い水準と内容のプログラムとなっています。採算だけで考えると到底実現は無理でしょう。この貴重な公演についてネット上には情報がほとんど出ていないので、以下に詳しくお知らせいたします。途中休憩が二回入る大変豪華なプログラムです。(一曲のみ、12日と13日で入れ替わります)

「紡ぎ合う日韓の古典芸能」
【東京公演】
2013年1月12日(土)16:00〜18:00/紀尾井ホール(小)
【横浜公演】
2013年1月13日(日)17:30〜19:30/横浜能楽堂
<プログラム>
解説:中村雅之(横浜能楽堂副館長・明治大学大学院兼任講師)

【ピリ独奏】「上霊山」
 ピリ:羅永善(ナ・ヨンソン)
【韓国舞踊】「エヘラノアラ」(振付/崔承喜[チェ・スンヒ]、伝承・指導/金白峰)
 舞踊:梁性玉(ヤン・ソノク)
 ピリ:羅永善(ナ・ヨンソン)、牙箏(アジェン):金泳吉(キム・ヨンギル)、杖鼓(チャング):柳京和(ユ・ギョンファ)
【鉄弦琴独奏】「時間を溜める根」
 鉄弦琴(チョルヒョングム):柳京和(ユ・ギョンファ)
【韓国舞踊】「三つの伝統リズム」(振付/崔承喜[チェ・スンヒ]、伝承・指導/金白峰)
 舞踊:梁性玉(ヤン・ソノク)
 伽倻琴(カヤグム):金海淑(キム・ヘスク)
【牙箏独奏】「朴種善(パク・ジョンソン)流牙箏散調」
 牙筝(アジェン):金泳吉(キム・ヨンギル)
【韓国舞踊】「杖鼓(チャング)舞」(振付/崔承喜[チェ・スンヒ]、伝承・指導/金白峰)
 舞踊:梁性玉(ヤン・ソノク)
 牙箏(アジェン):金泳吉(キム・ヨンギル)、ピリ:羅永善(ナ・ヨンソン)、鉄弦琴(チョルヒョングム):柳京和(ユ・ギョンファ)
【伽倻琴独奏】「風流路程」
 伽倻琴(カヤグム):金海淑(キム・ヘスク)
【韓国舞踊】「BINARI」(台本/徐淵昊[ソ・ヨノ]、振り付け/梁性玉)
 舞踊:梁性玉(ヤン・ソノク)
 牙箏(アジェン):金泳吉(キム・ヨンギル)、鉦(チン):柳京和(ユ・ギョンファ)
     < 休 憩 >
箏曲】「水の変態」(作曲:宮城道雄)
 歌・箏(本手):深海さとみ
 箏(替手):奥田雅楽之一
【中棹三味線】「3つのアリランの主題による独奏曲」(作曲:五世常磐津文字兵衛)
 三味線:常磐津文字兵衛
箏曲】「明石セレナーデ」(作詞:かずはじめ、作曲:萩岡松韻)≪12日≫
 舞踊:水木佑歌
 唄・箏I:萩岡松韻、萩岡未貴、萩岡信乃
 箏II:田中奈央一、吉川あいみ
 十七弦:吉川卓見
 笛:藤舎推峰
地歌】「鐘ケ岬」≪13日≫
 舞踊:水木佑歌
 箏:萩岡松韻、萩岡信乃
 三弦:萩岡未貴
 笛:藤舎推峰
     < 休 憩 >
【箏・伽倻琴合奏】「MATSURI」(作曲:萩岡松韻)
 箏:萩岡松韻、萩岡未貴、萩岡信乃
 伽倻琴(カヤグム):金海淑(キム・ヘスク)
 打物:廬慶順(ろ きょんすん)
 杖鼓(チャング):柳京和(ユ・ギョンファ)

料金=前売り 3,500円 当日 4,000円(全席指定)
チケット販売=ぴあ(電話 0570-02-9999)/横浜能楽堂(電話 045-263-3055)
チケットぴあのインターネット申込みページ

主催・お問合せ・お申込み=「紡ぎ合う日韓の古典芸能」実行委員会事務局(自在舎) 電話 03-3470-4970/FAX 03-3496-5492
後援=国際交流基金、韓国文化体育観光部、在日韓国大使館 韓国文化院

★横浜公演の情報横浜能楽堂HP内)

主催者からの本公演についてのコメントを掲載いたします。

「紡ぎ合う日韓の古典芸能」には、古典芸能の文化において両国を代表する音楽家舞踊家が、顔を揃えます。
韓国側は、戦前に日本でも高い評価を得た舞踊家・崔承喜が振り付けた3つの曲を韓国芸術綜合学校教授の梁性玉が舞うほか、琴系の楽器である伽倻琴や牙箏の独奏曲も披露されます。
日本側は、韓国在住の時代に世に出た宮城道雄の処女作「水の変態」を東京藝術大学准教授の深海さとみらが演奏。国の文化交流大使として韓国を訪れた常磐津文字兵衛が、滞在中に作曲した「3つのアリランの主題による独奏曲」を演奏します。
他には、東京公演では、東京藝術大学教授でもある萩岡松韻が、自らの作品である「明石セレナーデ」を演奏。横浜公演では、現代の日本舞踊界の第一線で活躍する水木佑歌が、地歌舞の名曲「鐘ケ岬」を舞います。
最後には、萩岡松韻と韓国芸術綜合学校教授の金海淑が中心となって、日本の箏と韓国の伽倻琴の合奏曲「MATSURI」を演奏します。

(堀内)