じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

2月6日(水)伝統芸能見本市「春迎え」

 

昨年全面リニューアルされた池袋の東京芸術劇場コンサートホールで、2月6日(水)午後6:30、さまざまな邦楽種目から一流の演奏家を揃えた、大規模な特別公演が開催されます。題して、伝統芸能見本市 春迎え』。本舞台の出演は、舞楽文楽、日本舞踊、大田楽。でもそれだけではありません。当日はロビーを含めホール全体が会場として使われ、公演の休憩時間にロビーでは新内流し、里神楽、太神楽が演じられます。休憩している暇もない賑やかさ。

しかもそれだけではまだ足りないと、ロビー開場時刻の午後5時30分に合わせて、ホール建物前の池袋西口公園では、大田楽や木遣り、新ばし芸者衆が練り歩く「道行」が演じられます。雨天時は、東京芸術劇場1Fアトリウム内で。これだけを観るのであればもちろん無料。とはいえ本公演のチケットは一般 2,000円、学生 1,000円という破格の値段(!!)。

日本のさまざまな伝統音楽・伝統芸能に関心のある方や、邦楽を一遍ナマで聴いてみたいけれど、どうせなら一流どころの演奏で、色々種々様々、まとめて楽めるような都合のよいイベントはないものか・・・と思っていた方は、どうぞ2月6日(水)、夕刻5時半に池袋芸術劇場前へお出かけ下さい。そしてそのままチケットをもってホールの中へ。きっと素晴らしい出会いが待っていることでしょう。公式サイトに各演目の詳しい説明が掲載されています。→

伝統芸能見本市 「春迎え」 | Arts and Artistry of Japan ── A Showcase of Traditional Performing Arts』
日時=平成25年2月6日(水)午後6時30分開演(午後5時30分ロビー開場)
場所=東京芸術劇場コンサートホール
入場料=[全席指定]一般 2,000円/学生 1,000円
※午後5時30分より、東京芸術劇場前の池袋西口公園で、大田楽や木遣り、新ばし芸者衆が練り歩く「道行」があります。「道行」は観覧無料。(雨天時は、東京芸術劇場1Fアトリウムにて)
チケット取扱=チケットぴあイープラス[e+]東京芸術劇場ボックスオフィス PC:  mobile:
問い合わせ=伝統芸能見本市事務局[電話 03-5623-2556(平日10時-18時)]
主催=アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団
協力=東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団
http://www.artscouncil-tokyo.jp/harumukae/

<内容・出演>
【日本舞踊】 「手習子」(てならいこ)
舞踊:花柳美輝風長唄杵屋巳津也 ほか/三味線:今藤長龍郎 ほか/囃子:藤舎呂英社中

文楽 「二人三番叟」(ににんさんばそう)
豊竹呂勢大夫、竹澤宗助、鶴澤藤蔵、桐竹勘十郎、吉田勘彌 ほか

舞楽 「春庭花」(しゅんでいか)
東京楽所(代表 多忠輝)

【大田楽】(だいでんがく) 「番楽」(ばんがく)、「田主奏上」(たあるじそうじょう)、「総田楽」(そうでんがく) ほか
野村万蔵、野村扇丞 ほか わざおぎ

≪公演休憩中のロビーでの出演≫
【新内流し】 新内剛士、新内仲之助
里神楽(さとかぐら) 石渡大介連中
【太神楽】(だいかぐら) 鏡味仙志郎

★「道行」
開演の1時間前(午後5時30分)から、劇場前の池袋西口公園で、大田楽や江戸木遣り、新ばし芸者衆が練り歩く「道行」があります。
出演=新ばし芸者衆、江戸消防記念会第一区連中、大田楽 わざおぎ
※都合により、出演者・演目等変更になる場合がございますのでご了承ください。

企画構成=茂手木潔子

「WEB広報東京都」で、本公演に抽選で200人ご招待。応募受け付け中!

申込/1月15日(消印)までに往復はがきに人数(2人まで)・代表者の住所・氏名(ふりがな)・電話・全員の氏名(ふりがな)を書き、伝統芸能見本市事務局(〒103-0014 中央区日本橋蛎殻町2-13-9) 電話03-5623-2556 へ。
問い合わせ アーツカウンシル東京 電話03-6240-2292 または 生活文化局文化事業課 電話03-5320-7703


本公演を主催するのは、昨年東京都の文化振興事業の要(かなめ)として新たに設立されたアーツカウンシル東京です。東京都は「東京発・伝統WA感動」プロジェクトをはじめ、伝統芸能の活性化に熱心に取り組んでいます。「伝統WA感動」関連の記事は、このじゃぽ音っとブログでも何度も取り上げています。(「じゃぽ音っとブログ」内を「伝統WA感動」で検索した過去記事→

以下に本公演の主催者アーツカウンシル東京のことばをご紹介いたしましょう。

東京は、芸術文化が多様に存在し、都民生活の質を向上させるとともに、国内外から東京を訪れる多くの方々に芸術文化の魅力を伝えています。アーツカウンシル東京は、東京都が目指す「世界的な文化創造都市・東京」実現に向け、東京の芸術文化を専門的な立場から振興するために、公益財団法人東京都歴史文化財団の中に昨年、発足しました。

伝統芸能は、季節の移り変わりを捉え、気候や風景に合わせて演じられてきました。このような伝統ある文化を継承して多くの人々に伝えるとともに、次代に向けてさらに発展させていくことは、東京が芸術文化の振興に果たす大きな役目であると考えます。

今回は、舞楽文楽、日本舞踊、大田楽という文字通り我が国を代表する伝統芸能を、春を迎えて生命が輝きを増していく季節感を大切にして上演します。また、ステージの合間や事前には、新内、芸者衆、木遣りという、世界都市として成熟を成し遂げた江戸時代から現代まで愛されてきた江戸文化の一端を味わっていただきます。

この催しを通じて、伝統文化の魅力を再認識いただき、東京の持つ豊かさと多彩さを知っていただければ幸いです。

アーツカウンシル東京


そして次にご紹介するのは、東京芸術劇場という普段はクラシックの公演に使用される大きな会場で邦楽の魅力をどうやって伝えるかに苦心された企画・構成の茂手木潔子さんのことばです。今回の公演のタイトル「春迎え」が、東日本大震災の被災地の方々に思いを馳せて名付けられたことが記されています。そして、「ロビーの素敵な繭玉飾り」とは、どんなものなのでしょうか。拝見するのが楽しみです。

企画構成者からのメッセージ

数年前まで豪雪の地で暮らしていた私は、雪国に住む人々が、春を迎える思いがどれほど強いものか、そして、残り雪の合間にちょっと覗いた春の息吹きが、心をどれほど和ませてくれるのかを体験しました。今年の冬の厳しさは、30年前の雪国の豪雪を思い出させます。

東日本大震災から2年が経とうとしています。しかしながら、被災地の厳しさは、いつ終わるともしれず心が痛みます。被災地の皆様が、穏やかな春を迎えられるようにと願いを込めて、今回の公演のタイトルを「春迎え」としました。

南北に長い日本の国ほど、多様な自然に囲まれた国はないと聞いています。そして、先人たちは、自然への畏敬の念を表すため、そして自然の恵みへの感謝を込めて、故郷に様々な伝統芸能を生み出してきました。数えきれないほどの豊かな芸能にあふれた日本です。これら豊かな芸能の中から、木遣りと芸者衆の華やかな道行き、新内流しや神楽舞、そして太神楽、日本舞踊、文楽舞楽、大田楽をお楽しみ下さい。出演者は全て日本を代表する若手、ベテランの方々です。そして、ロビーの素敵な繭玉飾りは雪国からの便りです。

茂手木潔子(もてぎ・きよこ)



ところで・・・茂手木潔子さん(音楽学上越教育大学名誉教授)といえば、昨秋、当財団から発売したマーティ・グロス監督の映画<文楽「冥途の飛脚」>の国内盤ブルーレイの制作では、日本語字幕の作成と、全52ページの詳細な日本語解説書の監修をお願いした際に大変お世話になりました。竹本越路大夫、吉田玉男をはじめ、昭和の文楽の名人が総出演したこの伝説の文楽映画のデジタルリマスター版は、「文楽」に初めて接する方にもぜひお薦めです! 

詳細を記載した当ブログの記事はこちらです。→ <文楽「冥途の飛脚」 Blu-ray発売>(2012年11月21日)

(堀内)