じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

紀伊国屋ホール: 落語会&トークショー

紀伊国屋ホールで1月28日(月)に落語会&トークショーがあり行ってまいりました。
この会はただの寄席ではありません。落語界からは、「笑点」メンバーでおなじみの林家木久扇さん・三遊亭好楽さん、そして好楽さんの弟弟子かつご子息の(三遊亭)王楽さん。そして、扇派家元である扇よし和さんも出演されて小唄を披露されました。木久扇さんと好楽さんのトークショーまであって盛りだくさん。このフルコースで、驚くなかれ、料金は1500円ぽっきり。

開演から終演までが夜7時〜9時という少々遅い時間帯にも関わらず、わたしと同じ客席列に小学生とおぼしきランドセル姿の子がいましたが、大半ケラケラ笑っていました(こどもゆえに理解できていなさそうな箇所も見受けられましたが・・)。ほんとうに落語は、こどもから大人まで庶民が手軽に楽しめる一級ライブ・エンターテイメントですね。

◇ 好楽さんと扇さんがご本をだされたとのこと。中入りでは王楽さんが販売に立たれていました!

さて、プログラムはこのようなものでした。

前座: 三遊亭王楽さん 『ん廻し』
スペシャルゲスト: 林家木久扇さん 『松竹梅』
トークショー:好楽さん&木久扇さん
<中入り>
友情出演: 扇よし和さん 小唄
三遊亭好楽さん 『親子酒』

どの噺もほんとうに楽しくて、とてもよかったです。中から、お一人だけ取り上げるとしたら、木久扇さん。今までテレビの「笑点」でしかお話を聞く機会はありませんでしたが、舞台で拝見すると、高座にいらっしゃるだけでもどんな面白いお話が飛び出してくるかわくわくします。この『松竹梅』、こちらは祝言にまつわる古典落語なのですが、木久扇さんのお若い頃〜現在にいたるまでの結婚式にまつわる「マクラ」が絶妙で、スッと入ってきました。
それにしても、今回初めて知りましたが、木久扇さんはかつていろいろご苦労なさったようです。東京空襲にあって逃げ惑い、戦後は何もかも焼けたところから生活を始め・・・、結婚式の司会から、寄席の空き時間に掃除まで、日々の糧を得るのになんでもなさっていたご様子。そう語るご本人は飄々として、悲壮感なく、苦労話にも聞こえず、おかしくて笑うことはあれ....。こうして心に残るのはすばらしい話芸ですね。

今回、他二つの演目『ん廻し』(「寄合酒」「田楽食い」とも呼ばれているようです)、『親子酒』につきましてはご紹介できませんでしたが、財団でCDが出ております。どうぞ、どんなお話しかご興味のある方はお聴きくださいますように。

◆ビクター落語 上方篇 三代目 桂春團治(3) 野崎詣り/寄合酒/お玉牛
◆六世松鶴極つき十三夜/六代目 笑福亭松鶴 (7枚組)
◆六代目 笑福亭松鶴 上方はなし (14枚組)
◆ビクター落語 上方篇 五代目 桂 文枝(6) 高津の富/百年目/親子酒

また、小唄の扇さんが出された本は題名が「色気も濃すぎちゃ野暮でげす」という一聞してどんなテーマか見当が付きませんが、『小唄ってこんなに楽しいですよ』という内容だそうです。読んでみたいなと思っております。そして、扇よし和さんも、財団のCDに出演されておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

◆復刻・新編 小唄ベスト120 (5枚組)
◆小唄まるかじり (2枚組)

※誤記のお詫び
王楽さんは好楽さんのお弟子さんではなく、「弟弟子」でいらっしゃいました。また、記載したプログラムに『ん廻し』も『親子酒』も演者として王楽さんのお名前を記載いたしましたが、正しくは『ん廻し』:王楽さん『親子酒』:好楽さん、の誤りでした。
間違った内容を載せましたこと、心よりお詫び申し上げます。

(弘)