じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

口琴のこと そして、第115回日本口琴協会定例会 スティーヴ・キンドウォルド氏ライブ

口琴」という文字を目にとめて、「あぁ、あれね!」とピンとくる方は、じゃぽ音っとブログ読者諸氏と言えども、さほど大勢はいらっしゃらないかと思いますので、僭越ながら、まずは簡単なご説明をさせていただきます。
「こうきん」と読みます。“琴”の字が付いていますが、おコトではありません。やや脱線しまして、日本のおコトは、ブリッジを立てて音高を決める方式によるロングツィター属ですから、厳密には“琴”ではなく“箏”と書くのが正確ではありますが、“琴”の文字は、漢字のご本家=中国に於いて既に、広義で楽器を示す言葉でもあるようです。ちなみに、現代中国では、ハーモニカのことを「口琴」と書くそうですが、ここで話題にする「口琴」は、ハーモニカのことでもありません。
掌に乗る小さな楽器、口に当てて構えて、弁を指で弾く、あるいは紐を引いて弁を振動させ、口の中で共鳴させて倍音を操ることによって、音色の変化を楽しんだり、倍音の音高でメロディを奏でたりする楽器です。
長々と書き連ねるよりも、写真をご覧になった方が、お解りいただけますね。


これはドイツ製の口琴ですが、口琴は世界の様々な国・地域にあり、素材も形状もいろいろなものがあります。ちょっとコツをつかめば、誰でもびよ〜んと音を出すことができて楽しめますし、テクニックを駆使した名人芸となると、大きな表現力を発揮します。


直川礼緒(ただがわ・れお)さんは、口琴の魅力に憑りつかれて30年余、世界中に口琴を訪ね歩いて研究調査し、日本国内に口琴を普及すべく「日本口琴協会」を設立して、口琴演奏家を世界各国から招いて公演を行ったり、CDや書籍を制作したり、そしてご本人が演奏家としても活動する、名実ともに日本口琴界の第一人者です。
日本口琴協会の第115回定例会が2月10日(日)に開催されますので、ご案内させていただきます。定例会では、毎回ゲストを招いてのライブが行われており、今回は、口琴演奏家であり、中東からラージャスターン、スマトラにかけて伝わる4穴の斜め吹きの笛の研究家・演奏家でもあるスティーヴ・キンドウォルド(Steev Kindwald)氏が出演します。キンドウォルド氏のソロの他、直川さんとのセッションも期待できます。

第115回日本口琴協会定例会 『Steev Kindwaldライブ』
[日時] 2月10日(日) 19:00〜
[会場] 円盤(JR高円寺駅下車 徒歩1〜2分)Tel.03-5306-2937
アクセスは こちらのページ をごらんください
[参加費] 1,500円(1ドリンク付)
●内容についてのお問合せは日本口琴協会まで biyooonkoukin.jp (に変えて)

キンドウォルド氏の演奏風景をYouTubeでみつけました。この楽器はご本人作の口琴とのこと。

この動画を観て、アイヌムックリを想い出された方もおありでしょう。ムックリ口琴です。それでは、日本の口琴ムックリだけ…と思ったら大間違い!江戸時代の日本では「口琵琶」「琵琶笛」「びやぼん」「びわぼん」「きやこん」などと呼ばれて口琴は大流行し、あまりに大きな社会現象となったため、幕府から禁止令が出たとか。さらに驚くべきことに、平安時代のものと見られる鉄製の口琴も遺跡から発掘されています。「口琴は、三味線よりもずっと古くからの、日本の伝統文化です!」と、直川さんは熱く語っておられます。
定例会では、演奏の鑑賞だけでなく、一般参加者も気軽に交流できますので、この話の続きは、ぜひ、直川さんから直接お聞きください。


そんな直川さんの研究成果を1冊にまとめた本が、「口琴のひびく世界」。世界各国の口琴口琴演奏家口琴製作者が紹介されていて、それぞれの場所での、人々の口琴に注ぐ愛情が伝わってきます。カラー写真がいっぱいで、CDも付いています。定例会会場で販売される他、日本口琴協会のネットショップ「びやぼん屋」でも扱っています。
「びやぼん屋」では、もちろん、びやぼん=口琴も買えます。精巧な工芸品のような口琴、遊び心いっぱいのユニークな口琴、などなど、写真を見ているだけでも、心がびよょ〜んと楽しくなってきませんか?

日本口琴協会公式サイト 
びやぼん屋本館口琴、Video/DVD、書籍、日本口琴協会制作ほ かの口琴CDはこちらです)
びやぼん屋別館(現在、喉歌CDの特集開催中)

(YuriK)