じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

福井県奥越前の奇祭「勝山左義長」

福井県の雪深い山間にある勝山市で毎年2月下旬の土日に行われている祭り「勝山左義長」はとにかく不思議で独特な魅力に溢れています。今年こそ行こう!と思いながら、またしてもその機会を逸してしまいました。無念。

左義長」は「さぎっちょ」と読みます。この名を冠した祭りは近江八幡など他の地域でも1月や3月(旧暦正月)に行われています。この「左義長」という言葉の語源は正月に宮中で行われていた遊戯「打毬(だきゅう)」で使用する道具である、毬杖・毬打(ぎっちょう・ぎちょう)に由来し、この毬杖・毬打が壊れたときに竹に結んで短冊などで飾り、これを陰陽師が謡いながら焼くという行事があったそうです。その際に毬杖を三つ結んだことから、三毬杖・三鞠打・三木張(さぎっちょう)、散鬼打、という語彙が生まれて、やがて左義長(さぎっちょ)という呼称に変化したとのこと。つまり左義長(さぎっちょ)の原点は、火の神への祈り、五穀豊穣の祈願、いわゆる鎮火祭にあるようです。

左義長」と称する祭りではどこでもハイライトはどんど焼ですが、山車の巡行やお囃子と踊りなども、当然大きなポイントです。その点で、勝山の左義長はかなり変わっています。櫓(やぐら)上に三味線、笛、鼓の囃子が陣取って、長襦袢を着た男性が奇妙な身振りを交えながら太鼓を叩き(太鼓の音をミュートするために後ろ向きで太鼓の上に腰掛けている人がいるのも不思議)、それを周囲の人々が「浮いた浮いた」と独特な調子で囃し立てるのです。以下は、芳野地区の櫓の浮き太鼓の動画。

勝山左義長祭り 2011左義長浮き浮きライブin芳野 26日


また、勝山の左義長まつりでは、町内の至る所に飾られる作り物と絵行灯も相当に摩訶不思議な魅力を発揮しています。 asquita さんのブログ「空間Annex」で、勝山左義長まつりの様子や面白い絵行灯を、文章と写真でたくさん紹介してくださっています。

勝山左義長2012:左義長ばやし
勝山左義長2012:絵行燈その2
勝山左義長2012:お囃子サイコウ。


さあ、来年の冬こそ、勝山へ。左義長ばやしが、もう耳から離れません。

奇祭「勝山左義長」と勝山市文化財のご紹介(勝山市商工観光部 観光政策課)

(堀内)