じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

渡船場にて

先日少し遠出をして利根川の川岸をジョギングしていたところ、こうした渡船場を発見しました。
赤岩渡船場群馬県邑楽〈おうら〉郡千代田町
 
川を渡る手段として普段何気なく橋を利用していますが、こうした昔ながらの渡船場があるのですね。
 

赤岩渡船は千代田町赤岩から利根川をはさんで向こう岸の埼玉県熊谷市葛和田を動力船で結んでいる、主要地方道(県道)熊谷・館林線上にあります。利根川広しといえども現在県道として2つしか残っていない利根川を渡る橋のない公道の1つです。そのうち主要地方道はこの赤岩渡船だけで、年間1万6千人を超える方々に利用されています。千代田町ホームページより

赤岩渡船の歴史は古く、戦国時代の上杉謙信の文献にも登場するとのこと。「坂東太郎」と呼ばれる日本最大の河川、利根川は、かつて荒川(埼玉県)と合流して東京湾に注いでいたのですが、複雑な流路による洪水が多発したため、徳川家康が関東に入って以来、江戸時代に利根川東遷事業として現在の銚子市が河口となるように付け替えが行なわれました。現在、この赤岩渡船のほかにも利根川に地元の方々の貴重な交通手段として下記の渡船場が残っています。
島村渡船(群馬県伊勢崎市)、小堀(おおほり)渡船(茨城県取手市)、富田渡船(千葉県香取市(※私のような外部の人間が訪れて乗せていただくのは、その目的から考えて極力控えなくては……乗船ご希望の方は事前にお調べのうえでお願いします)
このなかの島村渡船は毎年5月中旬の日曜日に「島村渡船フェスタ」(伊勢崎市ホームページよりリンク)が開催されることがあるようです(小雨決行・雨天中止)。昨年の模様が伊勢崎市ホームページに掲載されていますので、ご紹介させていただきます第17回・島村渡船フェスタ。こちら、子供たちの魚のつかみどりなど楽しそうな様子が掲載されています。いいですね、機会があれば一度フェスタにおじゃましてみたいものです。
利根川だけでなく、日本各地での渡船場の遺構や今でも実際に活用されている渡船場を少しご紹介させていただきます。お住まいのお近くでこういった昔の風情を思い起こす機会がありましたら是非。
浮間の渡船場跡・浮間渡船場跡の供養塔群(東京都北区)石狩川河口渡船場大阪渡船場マップ現在運行中の渡船場(大阪市ホームページ)
そして有名な「矢切の渡し」。以前、私がこの近くを取材で訪れた際に撮影。心和む光景です。
 
こちらは、環境庁(現・環境省)が選定した日本全国の魅力的な音の風景100ヶ所を収録した「日本の音風景100選まるかじり」(写真)に柴又帝釈天かいわいと矢切の渡しとして収録されています。音から感じる日本のかけがえのない風景のひとつですよね。

(じゃぽ音っと編集部T)