じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

満員御礼!郷みん’Sコンサート

結成6年目を迎え、毎回息のあった唄、津軽三味線、踊りで会場を魅了する郷みん'S(きょうみんず)。2回目となるクレアこうのす小ホールでのコンサートが2月24日(日)に行われました。今回は尺八演奏におもだか秋子さんの弟澤瀉誠さん、そして地元鴻巣出身で語り部として活躍されている平山八重さんを迎え、いつもと少し違った演出でのコンサートということもあり、当日は強風にもかかわらず、たくさんのお客様がお越しくださいました。

開演前から郷みん‘Sの登場を今か今かと待つファンの気持ちに応えるように、おもだか秋子さんが艶やかな声で唄う新潟県民謡のお座敷唄「米山甚句」から、格式のある歌詞と踊りが特徴の「相川音頭」のメドレーでスタートしたコンサート。他に「佐渡おけさ」「出雲崎おけさ」を唄と踊りでお届け。心地よいリズムの中にどこか哀愁のある新潟県民謡が会場に響き渡りました。

そして、郷みん'Sの3人それぞれが唄いたい、演奏したい、踊りたい曲をご披露するという個性をちりばめたコーナーへと続き、おもだか秋子さんはしっとりとした雰囲気漂う3曲「神津節」「串木野さのさ」「岡崎五万石」を、そして津軽三味線奏者の椿正範さんは時代と共に演奏方法が変わってきた「津軽じょんから節」の旧節、中節、新節、踊り用として演奏する「津軽じょんから節」を解りやすい解説を交えて披露。踊りの松浦奏貴さんは「奴さん」「さのさ」「かっぽれ」という粋な世界を楽しませてくれました。

第一部終盤に入って演奏されたのは人気の曲「ヤマタノオロチ」。日本神話古事記に登場する八岐大蛇、この出雲の伝説をモチーフに作られたこの曲は、若さ漲る郷みん’Sのオリジナル曲。郷みん'S結成当初は椿正範さんとおもだか秋子さん2人による津軽三味線だけで演奏されていましたが、最近は松浦奏貴さんが演奏する和太鼓を加え一層ダイナミックに、その世界観を大きく広げています。曲が始まる前、語り部平山八重さんによる詳しい曲の解説があったので、「情景を浮かべながら聴くことができた」というお客様からの声も多く聴くことが出来ました。

そして最後、アレンジを施した熊本県民謡「田原坂」、山梨県民謡「奈良田追分」、そして北海道民謡「舟漕ぎ流し唄」のお囃子の部分をタイトルにし、アップテンポにアレンジされた「KITAKAHOISA〜キタカホイサ〜」が演奏され、一部が終了。

第二部は、これぞ郷みん'Sと言わんばかりに、十八番の曲を集めた聴きごたえ充分の選曲。テンポが速く歯切れのよい太鼓が特徴の青森県民謡「南部あいや節」、あいや節の元唄で哀調をおびたメロディーが印象的な「古調あいや節」。福岡県民謡「黒田武士」は袴姿が凛々しい松浦奏貴さんの踊りが光る1曲として人気ですが、今回も吟詠・浪曲入りで重厚感たっぷりにお届けしました。

コンサート最後の曲として演奏したのは、郷みん'Sと言えばこの曲!青森県民謡「津軽よされ節」です。椿正範さんの華やかなで力強い津軽三味線が“郷みん’Sの津軽よされ節の世界”への期待感を一層膨らませ、津軽の風景を思わせるおもだか秋子さんの唄声と、表現力豊に私たちの目を楽しませてくれる松浦奏貴さんの踊りは、何度見ても聴いても新たな発見と感動を与えてくれる、郷みん'Sの代表曲だと感じました。

そして、鳴り止まぬアンコールの手拍子に嬉しさを隠すことなく再度ステージに現れた3人。にぎやかに「南部俵積み唄」を会場のお客様と共に歌い終演。そのままロビーに移動し、3人心を込めてお客様をお見送りしました。応援してくださるファンの皆様からたくさんのあたたかい声援をいただき、郷みん'Sもこれから更にパワーアップすることと思います。

語り部平山八重さん(左)と郷みん'S
悪天候の中ご来場いただきました皆様、このコンサートを企画してくださいました鴻巣市のスタッフの皆様、誠にありがとうございました。これからも郷みん‘Sをよろしくお願い致します。

尚、11月9日(土)には、西新井文化ホール(東京都足立区)にて弊財団主催の郷みん'Sコンサートを予定しております。改めてお知らせさせていただきますので、ぜひこちらもご注目のほどよろしくお願い致します。

(K)