じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「お江戸日本橋/栄芝の端唄」4月3日発売!


毎年恒例4月の栄芝会(昨日4月7日日本橋三越劇場にて開催)に合わせて新譜を発売していますが、今年は「端唄」。小唄の時は「春日とよ栄芝」、端唄の時は「栄芝」と芸名を二つ使い分けていますが、皆様よくご存じの栄芝先生です。
今回のCDは、ビクター時代のLPで5回ほどシリーズ発売されたものの中から、再度選曲し直した20曲を収録!(詳細はこちらへ→じゃぽ音っと作品情報:お江戸日本橋/栄芝の端唄 /  栄芝 他)三味線に本條秀太郎先生、鳴物には堅田喜三久先生をはじめその御社中の方々という豪華メンバーが勢揃い。彩り豊かな栄芝先生の端唄の世界に、芝居の役者のいなせな立ち姿や、あでやかな舞姿が思わず目に浮かんでしまいます。
唄われるのは、はかない逢瀬の嘆き、来ぬ人を待ち焦がれるやるせなさ・・・。初春の賑わいの中でふと「隅田川さえ棹さしゃとどく、何故にとどかぬ我がおもい」と本音をもらすワンシーン。ひとことで「恋」と言っても、様々な恋のありようが唄われます。どうぞ、こうした江戸の風情をこのCDでたっぷりとお楽しみいただきたいと思います。
時々財団に「○○のCDはどこで買えますか?」というお問い合わせをいただきますが、小唄・端唄・民謡などは、浅草のヨーロー堂さん、宮田商店さんが扱っていますので、お気軽にお出かけ下さい。もちろん、全国のレコード店やインターネットなどでもお求めいただくことができます。

栄芝先生は浅草生まれの浅草育ち。気っぷの良さと粋な所作や物腰は、きっと生まれながらのものなんですね。どことなく江戸気質を思わせる大人の魅力が感じられます。ところが、娘時代はずいぶんとお茶目で、おませなお嬢さんだったようです。以前、NHKの「ラジオ深夜便葛西聖司さんのインタビューで、一番お好きな歌は?という質問に、「テネシーワルツ!」と答えていらしたのを聴きました。ずいぶん意外な回答と思っていると、「私はね、この曲をレコードで聴いて覚えたんじゃないの。毎晩ダンス・ホールに行って、生のバンドの演奏を聴いて覚えちゃったの。ちょっと素敵でしょ、ふふふ・・・」。確か、「家をこっそり抜け出して・・・」ともおっしゃったような・・・。
せつない女心を唄うのは、洋の東西を問わず、幾時代を経ても共通の思い。きっと端唄にも通じるのですね。

(やちゃ坊)