じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

阿波十郎兵衛屋敷(あわ じゅうろうべえ やしき)


昨年秋、徳島県徳島市の、徳島県立 阿波十郎兵衛屋敷(あわ じゅうろうべえ やしき)へ伺いました。
アクセス・休館日・入場料などはこちら→http://joruri.info/jurobe/riyo.html
こちらのページには「郷土が誇る伝統芸能 阿波人形浄瑠璃」という徳島県制作の映像(11分)があり、その概要・歴史や特徴などをつかみやすくなっています→http://joruri.info/jurobe/awa.html

阿波十郎兵衛屋敷は、わけあって1698年に処刑された実在の人物、板東十郎兵衛(ばんどう・じゅうろうべえ)の屋敷跡。ここから東へ400メートルほどの場所にある老木の松があるところが明治の初め頃まで刑場だったそうで、そこで刑を受けたそうです。十郎兵衛は阿波人形浄瑠璃の代表的な演目「傾城阿波鳴門(けいせいあわのなると)」にも名を残しています。映像→http://joruri.info/movie/01.html

この外題は母と娘の情愛を描いたものですが、自宅へ戻ってからDVDで見た映画「眉山(びざん)」(松嶋菜々子主演)の中にも、まさに阿波十郎兵衛屋敷で演じられている場面が登場しました。この映画も、母と娘の関係を描いているのです・・→http://www.city.tokushima.tokushima.jp/bizan/

私が阿波十郎兵衛屋敷に伺った日も、この「傾城阿波鳴門」が駒三座(こまぞうざ)によって上演されていました(上の写真)。終演後に座長の東内つとむ(ひがしうち・つとむ)さんにご挨拶させていただきましたが、この方は上記シーンで映画「眉山」に出演なさっていたかたです。阿波十郎兵衛屋敷のスタッフのかたによると平成18年の撮影だったとか。三味線は鶴澤友輔師匠がご担当。

他にスタッフさんに伺ったお話で印象的だったのは、阿波の人形浄瑠璃は、村人が鎮守の神様に奉納したり、自ら演じて地域の共同体で楽しんだりしてアマチュアの文化として発展してきた、という点でした。なんだか、インドネシアのバリ島の芸能みたいだな…と思った次第です。結婚式や会議のアトラクションでも上演されるそうで、かなり人々の生活に密着したものと言えそうです。

淡路島が徳島藩の一部となったあとから人形浄瑠璃が入ってきて盛んになり、領内の神社境内には多くの「農村舞台」が建てられたそうです。現在淡路島は兵庫県ですが、これは明治以降の話とのこと。農村舞台の写真紹介とマップ掲載→http://joruri.info/map.html

屋敷のスタッフのかたはとても親切で、施設内をまわりながら丁寧にご説明いただき、人形にも触れさせていただいたりなど、大変お世話になりました。ありがとうございました! 最後に、どうこの文化が継承されていっているのですか?と質問させていただいたのですが、高校の部活動でも人形浄瑠璃をおこなっていたり、若い人たちも興味を持って受け継いでいる様子でした。


ご参考リンク:

阿波人形浄瑠璃の世界→http://joruri.info/index.html

徳島駅周辺観光案内→http://d.hatena.ne.jp/japojp/20121015/1350313115


眉山からの眺め

(J)