じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

鬼太鼓座

昨日まで2日間、鬼太鼓座のマスタリングをしていました。
鬼太鼓座(おんでこざ)は、1969年に故・田耕(でん たがやす)の構想のもとに集まった若者達により佐渡で結成。その活動の根源が「走ることと音楽とは一体である」という、田さんならではの『走楽論』です。
今週、世界を揺るがした爆弾事件の現場となったボストン・マラソンのゴール地点。鬼太鼓座が衝撃的なデビューを飾ったのは、まさにそのゴール地点でした。
1975年のボストン・マラソン。参加した鬼太鼓座メンバー15名全員が完走後、そのまま仮設の舞台に駆け上がって三尺八寸の大太鼓を演奏しました。
その模様が世界に報道され、一躍、鬼太鼓座の名が広く知られるようになったのでした。

LPレコードでのデビュー・アルバムはオーディオ・ファンを巻き込んだ大きなヒットとなり、すぐにシリーズ化され、さらに全3枚のアルバムが続けて発売されました。
ジャケット写真に英語で「ONDEKOZA 1」と記されているのが、多くのファンの方々にお聴き頂いた記念すべきデビュー・アルバムです。


ところがシリーズ化される前、実はわずか1年余で廃盤となったオリジナルのデビュー・アルバムがありました。
収録内容は全く同じですが、ジャケット・デザイン、解説書レイアウト等が異なる、このアルバムでのグループ名表記は「座鬼太鼓座」。ナント、名前の前後に「座」が付けられています。
また英語表記も「THE ONDEKOZA」ではなくて「ZAONDEKOZA」。
田さん一流のこだわりがここに見られます。


その、オリジナル・アルバムのジャケットをご覧下さい。


この度のマスタリングでは、デビュー・アルバムの76cmオリジナル・マスターテープを使用したハイビット・ハイサンプリングによるデジタル化に加え、デビュー・アルバム以降のLPレコード3シリーズ、さらに、デジタル録音以降のアルバム音源の新マスタリングも行いました。

私が鬼太鼓座のレコーディング・ディレクターを務めたアルバムはデジタル録音以降の全6タイトルで、その中には通称モンスターマシンと呼ばれる、究極の1インチ2chアナログ・レコーダーを使用した2タイトルも含まれています。

昨年、音質に拘ったレーベル「VICTOR STUDIO HD-Sound.」としてスタートした高音質配信シリーズの中にも、鬼太鼓座アルバムは取り上げられています。→

今回のマスタリングを経て、鬼太鼓座の「音」の魅力に触れて頂ける、新たな機会を創り出したいと考えています。

(理事長 藤本)