じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺 」


今年の正月2日に訪れた際には、天守に上がるエレベーター1時間待ちの列を見て断念致しましたが→姫路城大天守45年ぶりの本格修理 - じゃぽブログ、その後、桜の名所100選にも選ばれている姫路城が満開の頃、大天守修理見学施設「天空の白鷺」の見学リベンジをして参りました。正月ほど混雑はしていませんでしたが、一応、ウェブサイトの予約ページ himejijo-syuri.jp で見学予約をしてから行きました。これですんなりと入れて、かなり有効であったと思います。

以下は公式HP himejijo-syuri.jp の「保存修理について」ページより抜粋

■姫路城大天守45年ぶりの本格修理
姫路市では、2009年(平成21年)から姫路城大天守の保存修理工事を開始しました。これは、1964年(昭和39年)に完了した解体復元工事から45年が過ぎ、漆喰壁(しっくいかべ)をはじめ上層部の軒(のき)やひさしに傷みや汚れが激しくなってきたため、本格的な修理を行うものです。国宝であり世界文化遺産である大天守の保存修理工事は、長期にわたる大規模なものになります。そこで、学識経験者などを中心とする姫路城大天守保存修理検討会(会長・多淵敏樹神戸大学名誉教授)で工事の方針や工事期間中の見学者への対応などについて検討してきました。

■工事は壁の修復が中心
検討会で策定された基本方針では、工事は壁面の修復が中心となります。大天守の1〜3層は表面の漆喰壁を塗り直し、4・5層は下地から修理します。屋根瓦はできるだけ再利用しながら全面を葺き直し(ふきなおし)、くぎや銅線による補強を行うほか、破損した軒先などを修復。また、耐震性能の評価結果に基づき、床組みの構造補強などの耐震工事を行う予定です。
• 工事期間中は、大天守を完全に覆う形で素屋根(すやね)をかけ、作業を行います(下図参照)。
• 工事用の資材や機材などは、大天守東の姫路市立美術館側から搬入。東側から資材搬入用の足場を設置し、大天守下まで直接運び入れます。
• 工事の期間は、2009年(平成21年)10月の資材搬入足場の着工から丸5年で行います。2014年(平成26年)に素屋根や足場を撤去する予定です。
himejijo-syuri.jp


JR姫路駅に着きましたら、徒歩15分ほどで姫路城が見えるところまで着きます。お堀の橋を渡って門をくぐり、三の丸広場の周りの桜並木を眺めながら奥に進み、登城口で姫路城入城料400円と天空の白鷺の見学料200円のチケットを入手します。事前予約した場合は、向かって左側のチケット窓口でした。螺旋階段のようにくねくねと曲がる石段を登り、天守に上がるエレベーター前に到着。朝一番でしたので、エレベーターは空いていました。

エレベーターで一気に8階まで登ると、目前には海抜100Mから姫路市内周辺の大パノラマが見えます。この日は桜並木が眼下一帯をピンクに彩っていました。ちょうどソメイヨシノが満開、前日には雨が降って視界も良く、年に数回しか見れないという小豆島が見えました。展望スペースの窓から反対側には、修理中の天守最上層の大屋根がガラス越しに見えます。どちらを向いても、これは確かになかなか見れない眺めです! 最上部の両側には、既に新しく作られた鯱(しゃち)が乗っています。瓦屋根の目地に漆喰が使用されている城は、姫路城の他に熊本城、松山城明石城くらいで数少ないのだそうです。屋根と壁の漆喰のおかげで、美しい白亜のお城となるのでしょう。このスペースでは修理プロセスの動画が上映されていました。修復工事を行っている職人さんの仕事は、長時間中腰の辛い姿勢で、地道な作業をされていました。

階段を下りて7階のフロアは、白い漆喰壁の修理をガラス越しに見学できます。このフロアには、漆喰壁の工程を再現した模型がありました。江戸時代の解体修理前の外壁の漆喰の厚さは約2〜3mmでしたが、解体修理後の現在では外壁の漆喰は約30cmに増やされています。また、改修工事の際に、天守最上階の壁の部分にも窓枠が作られていた跡が発見されたそうです。築城当初は、最上階は360度窓が付く見晴らしのよい部屋となる予定だったようです。このことは、昭和の大改修の際にも発見されていたようですが、とくに公表していなかったとのこと。7階からは、正月に訪れた化粧櫓と千姫が眺めて遥拝した男山の天満宮がよく見えました。

姫路城入場の際に頂いたパンフレットに記載されている姫路城の歴史によると、姫路城の城主の変遷は簡単に以下の通りで、現在の全容が整ったのは1617年本多忠政が造営してから。

貞和2年(1346)赤松貞範、姫山に城を築く。
天正8年(1580)羽柴秀吉、姫路城に入り、姫路城の築城(大改修)を開始。
慶長6年(1601)池田輝政、姫路城築城を始める。
元和3年(1617)本多忠政、伊勢国桑から入封し、翌年、西の丸を造営。
寛延2年(1749)酒井氏(忠恭)、上野国前橋より姫路へ入封。

歴代の姫路城主について詳しくは、こちらの姫路市公式HPに掲載があります→姫路市|姫路城公式ホームページ(姫路城大図鑑)

こちらのサイトで、城主の家紋が使用された瓦紋の変遷について詳しく掲載されていました→瓦紋|姫路城とは

「天空の白鷺」は平成26(2014)年1月15日をもって閉館となります。来年の正月は駆け込みの来場者で混むでしょうから、これから行かれる方は年内に行かれる方が良いでしょう・・・館内での時間はだいたい一時間半みておけば、ゆっくりめに観られると思います。来年の桜の開花時期には、新しい天守を拝見しにまた、訪れたい姫路城です。

(J)