じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「工芸の五月」松本にて

今年のゴールデンウイーク、松本に行く機会がありました。

松本城は昨日のブログの記事(→姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺 」 - じゃぽブログ)の姫路城とともに、全国で四つしかない国宝の城郭です(ほかの二つは滋賀県彦根城と愛知県の犬山城)。
よく澄んだ空気のなかにそびえ立つ国宝のお城は、遠くに北アルプスの山々をのぞみ、目の前には内堀に映る天守閣と、さすがにどこから見ても絵になります。


明治時代に建てられた洋風建築の小学校を移築した旧開智学校を訪ねたり、四柱神社の参道の縄手通りをぶらぶらしたり、街歩きを楽しんだのですが、各所で「工芸の五月」という文字が目につきました。

最初に立ち寄った駅の改札前にある観光案内所には、たくさんの施設や宿のパンフレットがありましたが、ひときわ目をひく小冊子のタイトルが「工芸の五月」でした。とりあえず地図などと一緒にカバンに入れて、あとからゆっくり読んでわかったのですが、「工芸の五月」は松本全体で毎年開かれている大きなイベントで、小冊子は公式ガイドブックでした。
「工芸の五月」のサイトに、つぎのようにあります。

工芸の五月とは
江戸時代、松本は各地から集められた匠たちがたくさん居住する城下町として栄えました。
戦後には、柳宗悦の唱えた「民藝運動」に共感した人たちによって、木工、染織をはじめ、活発な工芸品製作がこの地でおこなわれ、こうした工芸と地域との長い関わりが礎となって「クラフトフェアまつもと」も生まれました。
「工芸の五月」は、2007年にスタートしました。松本と工芸の深い関わりに着目し、そこに新たなエネルギーを加えようという企画です。
工芸というと堅苦しい印象もありますが、つまりは暮らしの道具や生活品のこと。
毎年五月を「工芸月間」とし、松本を中心に美術館、博物館、クラフトフェアなど50の会場で工芸の企画展が開かれます。

公式ガイドブックはデザインも美しく、読んでも楽しい内容です。こちらからデジタル公式ガイドブックが見られます。→工芸の五月2013 official guide book

ちなみに工芸の五月企画室の室長のお名前に田中一光とあり、今は亡きあのデザインの巨匠が?と思いましたが、こちらは松本在住の新進の陶芸家さんでした。
松本市美館の「柳宗悦展 ─暮らしへの眼差し─」など興味のひかれる企画がたくさんあったのですが、今回は時間がとれず、出かける前に情報があればと残念に思いました。またいつか、新緑と青空が美しい五月の松本を訪ねたいものです。
ガイドブックは広告のページまで素敵なデザインで、裏表紙に出ていた開運堂のお菓子「白鳥の湖」を迷わずお土産に買ってしまいました。

(Y)