近年パワースポットとして若者の間でも存在感を増している代々木八幡宮(東京都渋谷区代々木5-1-1)。小田急線代々木八幡駅からほど近く、山手通りに面していながら、その境内には神秘的な静寂がただよう神社です。
5月19日(日)に金魚祭り(正式名称:五社宮祭)が行われました。その名の通り、金魚にまつわる物が沢山。子ども群がる金魚すくい。張子の金魚神輿。露店では、かわいらしい金魚根付に金魚提灯。もちろん、お祭りに欠かせない焼きそばやわたあめ、ヨーヨー釣り等のゲームもあるのですが、これらは地元の方々の運営で行われているため、値段設定がとても良心的。参道ではフリーマーケットも催され、訪れる方もこどもから大人まで様々な方がいらっしゃいました。
さて、この金魚祭りですが大正時代に一時は中断していたものの、平成15年に復活された模様。なぜ金魚祭りという名前のお祭りを行うようになったかの由来についても、金魚グッズを販売していらした方に伺いましたところ、そもそも5月の初めに東京都府中市・大国魂神社(武蔵野国の総社)で行われる「くらやみ祭り」に発端があったようです。
当時、この大国魂神社最大のお祭りで露店を張った商人たち多くいたわけですが、祭りが終われば甲州街道を引き揚げていきました。その途中、代々木八幡宮の五社宮祭で金魚などの残り荷をさばいていった事が始まりだったそうです。その頃、代々木近辺は宅地化が進んでいて、金魚を飼うことが流行していたこともあり、五社宮祭はより賑わうようになったとか。しかし後に陰りがさすようになり、中断してしまいますが、その後地元の方々の協力で地域のお祭り「金魚祭り」としてよみがえり、今日に至るようです。
さて、神社の境内に入ると、代々木囃子保存会による太鼓の演奏がされていました。代々木囃子というのは、江戸末期に代々木八幡宮の中で行われていた目黒流のお囃子を元にしたそうで、当時の神官が地域の農民に教えたことから始まったといいます。
ところがこちらも第二次世界大戦後は低迷、中断されてしまいます。戦後、1946年に氏子の人々が復興させ、現在も代々木八幡宮の祭礼を中心に活動を続けているとのこと。とてもカッコいい演奏でした。きっとテープで流しているのだろうと思った人もいると思いますが、ところがどっこい生演奏です。道行く多くの人が足を止め、ドンドンと鳴り響く音とその演奏風景に惹かれて写真を撮ったり、座って聴き入ったりする姿が見受けられました。
地元の人々の思いの結晶となった金魚祭りと代々木囃子。でもまだ継承という問題は代々残されるのでしょう・・。小学生以上の男女をメンバーを随時募集中とのこと。詳しくは代々木八幡宮ホームページ/お祭りをご覧ください!
尚、代々木囃子は代々木もちつき唄と共に、2005年に渋谷区指定無形民俗文化財として登録されています。(下の地域文化資産ポータルサイトにて、動画も見られます!)
(弘)