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公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

第十七回日本伝統文化振興財団賞

平成25年度、第十七回日本伝統文化振興財団賞の受賞者が、人形浄瑠璃文楽太夫、豊竹呂勢大夫(とよたけ ろせたゆう)さんに決まりました。
日本伝統文化振興財団賞」は、わが国の伝統音楽の保存・振興・普及に努めることを目的とする当財団の顕彰事業の一環として、伝統芸能分野で将来いっそうの活躍が期待される優秀なアーティストを毎年一名顕彰するものです。賞金は50万円。副賞としてDVDを制作し、受賞者の技芸を広く全国に紹介します。
これまでに受賞された16名の方々はそれぞれのジャンルでめざましい活躍を続けていますが、文楽からの受賞は初めてです。
豊竹呂勢大夫さんのプロフィールはこちらをご覧ください。→http://japan.japo-net.or.jp/cultivate/recipient/recipient_17.shtml#more

贈賞理由
人形浄瑠璃文楽太夫として、語り口の爽やかな美声と豊かな声量は、明快にして新鮮な芸風を生み出し、大きな魅力となっている。本格の時代物をこなす力量をもつ一方、新作物にも力を発揮して芸域を広げるなど、次代の文楽を担う太夫として大きな期待が寄せられている。

東京生まれの呂勢大夫さんが文楽に入るきっかけとなったのは、小学生のときに文楽公演を観に行ったことだそうです。そもそもNHKテレビの人形劇「新八犬伝」が大好きで、そんなに好きならと親御さんが文楽に連れて行ってくれたのだそうです。
中学生のころから東京在住の四代鶴澤重造師に教えを受け、高校卒業と同時に五代竹本南部大夫師に入門。現代の47歳としては芸歴が長いほうですが、お話を伺うと、まだまだ修業の身、とどこまでも謙虚な呂勢大夫さんです。

東京では5月11日から27日まで、国立劇場小劇場で「竹本義太夫三〇〇回忌記念」の文楽公演があり、先週末に行ってきました。
呂勢大夫さんは第一部の「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」熊谷陣屋の段の前半にご出演で、三味線は人間国宝鶴澤清治さんです。圧倒的な迫力の清治さんの三味線に導かれるように、30分余りの熱演でした。
ちょうど3列ほど前の席に小学生の男の子が座っているのを見つけました。「熊谷陣屋」と「曾根崎心中」という小学生には「?」と思われるプログラムでしたが、最後まで飽きずに観ていた様子。呂勢大夫さんのエピソードを思い出しました。
平成25年度の日本伝統文化振興財団賞の贈呈式は、7月4日(木)午後2時から紀尾井ホール(1階)で行います。
当日は豊竹呂勢大夫さんの披露演奏として「本朝廿四孝」より「奥庭狐火の段」が予定されています。(三味線:鶴澤藤蔵さん 琴・ツレ:鶴澤寛太郎さん)。
どなたでもお申し込みくださればご来場いただけます(入場無料)。申し込み方法などは追って当財団のホームページで公開しますので、いましばらくお待ちください。
【6月11日追記】詳細を公開しましたので、ホームページのこちらをご覧ください。→公演情報:「第十七回日本伝統文化振興財団賞」「第二回中島勝祐創作賞」贈呈式・記念演奏会【日本伝統文化振興財団 じゃぽ音っと】

(Y)

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