じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

第32回大宮薪能(たきぎのう)へ

昨年の投稿で、「雨天で残念でしたが、来年もうかがいたいと思っています」と記していた大宮薪能(たきぎのう)へ。第32回となる今年は5月24日、25日と二日間開催され、私は二日目の25日(土)にうかがいました。

今年のプログラム(写真左:表4/右:表1)冒頭に社団法人さいたま観光国際協会による「ご鑑能される皆様へ」とあり、抜粋させていただきます。

「大宮薪能」は、昭和五十七年に東北・上越新幹線が開業したのを契機に大宮の地域文化振興と観光行事の定着を願い第一回が開催され、今回で三十二回目を迎えました。
地域の誇りでもある「大宮薪能」の魅力は、一つの流派にとらわれず三つの流派の演者が一堂に会してご出演いただいていることと、日本でも屈指の大社である武蔵一宮氷川神社を会場としていることです。大いなる宮居と称された荘厳な境内に能舞台を施し、舞台を包み込むように凛々しくそびえ立つ椎の木の御神木、そして幻想的に照らす篝火が、よりいっそう厳粛な雰囲気をつくりあげます。(以下略)

呪文のような不思議な謡い「どうどうたらりたらりら」が印象的な素謡「翁(おきな)」に始まり、昨年は雨天で見ることができなかった火入れ式をついに目の当たりにしました。薪能ならではといったらよいでしょうか、ムード満点でした(休憩時に撮影)。この大宮薪能に第一回目から携わっていらっしゃるという武蔵野大学名誉教授の増田正造先生が解説(当財団発行のDVD「増田教授の映像バリ島まるかじり」CD「観世流 舞の囃子── 一噌流・幸流・高安流・金春流による── 」でもおなじみです)。ちょうど大相撲五月場所(夏場所)の千秋楽前日で、相撲にちなんでの楽しいお話を拝聴し、いよいよ始まります。「思えば能は義経の一代記のようにも見える(上記プログラム、増田先生の解説より)」というその一代記のまさに始まり、五条大橋での義経と弁慶の出会いを描く能「橋弁慶(はしべんけい)」。前日に演じられた「棒縛(ぼうしばり)」同様、お酒をめぐるユーモラスな狂言「千鳥(ちどり)」をはさみ、ロマンティックで美しい能「胡蝶(こちょう)」。開演時はまだ明るかった舞台も、進行とともに漆黒に染まり舞台両脇の篝火が映えて厳粛な雰囲気になっていきます。休憩時は照明が入るため、以下の写真よりも公演中の舞台は幻想的な雰囲気でした。
 

この日の夜お集まりになっていた観客の方々はきっと素敵なひとときを過ごされたのではないでしょうか。また来年の開催を楽しみにしていようと思います。

これからの夏〜秋にかけて、全国各地で薪能が開催されるはず。お近くで開催される薪能、足をお運びになってみるのはいかがでしょうか?
公益社団法人能楽協会のホームページ(先日5月27日にFacebookページを開設されたとのことです、要チェックですね!)ほかをご覧になってみてください。

(じゃぽねっと編集部T)