じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

正派邦楽会創立百周年記念演奏会が開かれました!

今週初めの6月2日(日)、東京文化会館大ホールで開催された正派邦楽会の創立百周年記念演奏会に伺いました。この演奏会につきましては以前もブログ(正派創始百周年記念演奏会◆) で取り上げましたが、日本全国はもとより海外からの総勢1000人を超える会員の方々が、この日のために準備を重ねて来た熱い思いがこもった舞台から、正派邦楽会百年の歴史の重みをひしひしと感じました。

写真は当日のプログラムですが、正派家元中島靖子先生は挨拶文の冒頭に次のように記されています。
「その『百年』という言葉の重さに胸が震え、居住まいを正す想いでございます。(中略)初代の邦楽への情熱、又、それを受けてそれぞれの時代をそれぞれの場所で守り抜き、懸命の努力を続けて生き抜いてこられた無数の先輩各位。会員一人一人の研鑽と、正派への想いの篤さ。そして何よりも箏、三弦という邦楽の深さと魅力。今、百年の舞台に立つ私共は、そのすべてを一音、一曲に込めて奏(ひ)かせて頂きます。本日の演奏会は、正派百年のゴールであり、又、次の百年へのスタートとも申せましょう。(後略)」

まさに靖子先生のこの言葉通り、「正派頌歌」で始まった演奏会第一部は、それぞれひたむきな気持ちのこもった渾身の舞台が続きました。

後半の第二部は、作曲者の故平井康三郎氏の子息平井丈一郎氏の指揮による「祝典協奏曲」の美しい響きで幕開きとなり、当代の三曲界を代表する演奏家による古典「松竹梅」、初代家元作曲の「四方の海」、そして靖子先生との婚礼の折に、夫君唯是震一先生が贈った「壽萬歳」が三世代の家元ファミリーで演奏されました。
そしてフィナーレには初代家元作曲の舞踊組曲和歌の浦」が舞台いっぱいの会員の演奏で奏でられ、記念すべき演奏会が締めくくられました。

5月31日のブログでも紹介されていますが、この日に向けて制作を進めておりましたCDアルバムを今一度ご紹介します。

先日5月29日に発売になりました、箏曲のCDをご紹介いたします。

正派創始百周年記念盤「箏・三弦 古典/現代名曲集(24)」

2013年5月29日発売 5,000円+税
VZCG-8503〜8504(2枚組)


ではここで、伝統芸能に携わる方々はもちろん良くご存じと思いますが、正派邦楽会について改めて紹介したいと思ます。

正派邦楽会は「公益財団法人正派邦楽会」として行う公益事業活動と、生田流箏曲流派としての「正派生田流」活動を行っています。箏曲家が組織する会派として我が国で最も大きな団体となっています。現在、アメリ支部を含む全11支部に、1万8千人あまりの幹部会員が所属し、演奏、教授活動などを通じて邦楽の普及・振興に努めておられます。
ちょうど百年前の大正2(1913)年、初代家元・中島雅楽之都師が長野市で正派を創立し、以来、宮城道雄、久本玄智をはじめとする筝曲界の新しい作曲者による多くの作品を公刊しました。
昭和22年には邦楽におけるアンサンブルの重要性に着目し、他流派に先駆けて正派合奏団を発足し、さらに専門家養成機関として昭和34年には正派音楽院を設立、現在の邦楽界の中心となる多くの演奏家、教授者を輩出しています。昭和42(1967)年にはこの正派音楽院の卒業生による桐韻会が結成され、現在まで40回を超える演奏会活動を国内外で行っています。

(理事長 藤本)