じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

大神社展 最終日!

こちらのブログですでにご紹介済みの「大神社展」。最終日の6月2日(日)の午前中、わたしも駆け込みで行って参りました。この日は上野の東京文化会館大ホールで正派邦楽会百周年を記念した大演奏会があった日。JR上野駅公園口付近では、いつになく多くの和服姿の方が多く華やかでした。

さて、多くの人にとって神社はお正月や七五三・結婚式といった人生儀礼の際に訪れる場所かと思います。しかしそのような時に、神に捧げられたご神宝や、神社の所蔵する衣装、神像といった物を目にするのは滅多にないのではないでしょうか。

中でも神像について、ふと気づきました。少なくとも私は、お寺めぐりで仏像鑑賞することはありましたが、今回初めて(日本の神社の)神像を鑑賞する機会に恵まれた気がします。会場で配っていた子供用のパンフレットがやさしく書かれていて、知識のあまりない私にはとても参考になりましたので掲載します。大人用と比べてみてください。

<子供用のパンフレットの一部>


<一般、大人用>

そもそも、日本の神々は目に見えるというものではなく、身の回りの自然に当たり前に存在したもの。樹木や太陽など、それそのものが信仰の対象になったり、一本の木片がご神木としてお社に鎮座していましたわけですが・・・。大陸から仏教が伝来すると、同じように神像を作ることが盛んになったようです。

神像を見ていて一つ気づいたことがありました。それは、ひびです。仏像ではあまりないように思われたひびに目が行き、その時はなぜ綺麗に作らないのだろう、とどちらかというと怪訝に感じていました。ところがこれには理由があることが分かりました。子供向けパンフレットの説明です。

Q:ひび割れているのはどうしてですか?
A:仏像をつくるときにはひびが入ったりしないように木の節の部分を使わないなどの工夫をしますが、神像ではそういう工夫をしないことが多いからです。木そのものも神のように神聖なものと考えたのかもしれませんね。

「木そのものが神聖だからだ」と断言していませんが、とても納得のいく理由のように思います。神像の御顔立ちはとても穏やかで、仏像でいうと不動明王馬頭観音といった憤怒の形相は見られなかったように記憶しています。菩薩様や、柔和なお顔の観音様に近い感じです。太古から人々が祈りを込めてかたち造った神の姿とは、このようなお姿だったのですね。

神社に安置される神像は「ご神体」とされて一般に公開されることはあまりありません。とても貴重な体験だったと思っています。また、関連して、2013年4月24日に幣財団から発売された「神々の音楽 ―神道音楽集成―」(CD4枚組+解説書)も合わせてご参考くださいますようお願いします。解説本も充実しており、ご興味のある方にご満足頂ける作品です。

(弘)