じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

インド古典舞踊コンサート「神々への祈り」

わたくし共の財団事務所は東京の千代田区西神田にあります。そこから徒歩10分も掛からない、靖国通りの坂を少し上った処にインド大使館があります。そのせいでしょうか、この界隈にはインド料理店が多くあります。

そして、昨日6月17日(月)、インド大使館と千代田区文化スポーツ課の共催でコンサートが催されました。場所は千代田区役所1階のオープンスペース、区民ホール。お昼時の人々が集えるようにとの取り計らいにて、正午から1時間の開催でした。

12:00 開会の挨拶
12:05-12:20 インド古典打楽器タブラ ラリット・K・ディキシット氏
12:20-12:35 東インド古典舞踊オリッシー 安延佳珠子氏
12:35-12:50 南インド古典舞踊バラタナティヤム 野火杏子氏

タブラもバラタナティヤムも素晴らしかったのは勿論のことですが、特に、安延先生のオリッシー(オディッシー)には心を揺さぶられました。オリッシーはインド東部のオリッサ州で生まれた舞踊。もとは寺院に属する巫女兼ダンサーにより神への捧げものとしての踊られていました。

さて、どのような舞踊なのか、もしかするとポーズ自体は、写真などでご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。つま先を外側に向け、腰を落とし、肘を深く曲げた独特のフォルムは、たいへん女性的。美しいことこの上ありません。そして、足に重ねられた鈴の音が、ステップを踏む毎に澄んだ音で響きます。

ジェスチャーやマイムがふんだんに取り入れられた踊りです。とても手や指の表情が豊か。しなやかな動きで、手話のように歌詞の内容を表しながら踊ります。そのしなやかな、流れるような手の表情の一方で、地面がダンダンと太鼓のように鳴る程、足を踏み鳴らします。拍子を取っているのですね。その力強いこと。その対比に、私も、道行く人々も目を奪われていました。

さて、前半はガネーシャ神への讃歌、Ganesha Mangalachalan。Mangalachalanはよく舞台の始まりに踊られ、舞台の成功を祈願するものだそうです。後半はPallavi〜春の調べ。パラッヴィとはゆっくりと始まり徐々にスピードが増していく種類の舞踊だそうですが、今回はその音楽に日本人の大好きな桜が歌われていました。よく聞いていると、歌詞の中に「八重の桜」と出てきて、ダンサーは胸の前で、手で桜の花を作ります。そして、その手はそのまま額にゆき、遠くを仰ぎ見る仕草へ。その先に、まるで満開に咲いた桜が重なって見えるがごとく・・・。

美しいひと時を過ごしました。

【コンサートが終わった後】

(弘)