じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「和楽器の魅力〜琵琶・胡弓〜」

先週の金曜日に放送されたEテレ「にっぽんの芸能」は「和楽器の魅力〜琵琶・胡弓〜」でした。テレビでは日本の伝統芸能を扱った番組がとても少ないので毎回楽しみにしていますが、今回は琵琶と胡弓に焦点を当てて、興味深い内容でした。
演奏曲目は次のとおり。7月5日(金)正午からEテレで再放送がありますので、見逃した方はぜひ。

「城山」 (薩摩琵琶)須田 誠舟
那須與市」 (筑前琵琶)上原 まり
「鶴の巣籠」 (胡弓)高橋 翠秋
箏曲“松竹梅”」 (唄と三絃)藤井 昭子、(箏)川瀬 露秋、(胡弓)高橋 翠秋

琵琶は、楽琵琶、平家琵琶、薩摩琵琶、筑前琵琶を並べて、須田誠舟さんが解説してくれました。琵琶と一口にいっても、大きさや材質、奏法などが違います。薩摩琵琶の須田誠舟さんと筑前琵琶上原まりさんが実際に楽器を見せて比べた後、音色を聞くと違いがとてもよくわかりました。


もう一つとりあげていたのが胡弓。いまでは胡弓の仲間である中国の二胡のほうがポピュラーで、日本の胡弓を聞いたことがない人が多いというのはもったいない気がします。
三味線とよく似ていますが少し小ぶりで、何よりバチではなく弓で演奏するのが特徴。日本では唯一の擦弦楽器です。独奏のほか、文楽や歌舞伎でも胡弓が効果的に使われることがあります。
現在「三曲合奏」というと箏、三味線、尺八の組み合わせが普通ですが、もともとは尺八ではなく胡弓だったとのこと。箏、三味線、胡弓による「松竹梅」の演奏は、聞き慣れた三曲合奏とは違った趣きがありました。
この胡弓の解説と演奏をされたのが、高橋翠秋さんです。師の川瀬白秋さんとともに歌舞伎の黒御簾(くろみす)音楽で活躍されるほか、「胡弓の栞」というリサイタルで平成22年度の文化庁芸術祭優秀賞を受けています。
実は作曲活動もされていて、今年の第2回中島勝祐創作賞の受賞者でもあります。受賞作品の「櫻姫(さくらひめ)」はもちろん胡弓が活躍する曲ですが、この作品によせる想いを次のように語っています。
「日本唯一の擦弦楽器である胡弓をより多くの人に知って欲しい、哀愁のある音色だけではなく、激しさ、強さも表現でき得る楽器として知って欲しい、また胡弓を活かせる曲をという想いで取り組んでみました。」
この曲は7月4日(木)の日本伝統文化振興財団賞・中島勝祐創作賞の贈呈式・記念演奏会で演奏されます(午後2時から紀尾井ホール)。胡弓を知り尽くした翠秋さんによる自作の演奏を、この機会にぜひたくさんの方にお聞きいただきたいと思います。胡弓の音色を生で聞くまたとない機会です。
入場無料ですが、申し込みが必要です。当財団のサイトから申し込みができますので、詳細はこちらをご覧ください。→http://japan.japo-net.or.jp/news/zaidansho17_concert_notice.shtml

(Y)