じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

真理がわれらを自由にする!

この言葉は、国立国会図書館本館にある中央の受付カウンターの上に、日本語とギリシャ語で刻まれています。国立国会図書館法の一文から取られたものです。

国立国会図書館は、真理がわれらを自由にするという確信に立って、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与することを使命として、ここに設立される」

「真理がわれらを自由にする」という言葉が国立会図書館の“理念”であることを知ったのは、図書館司書講習の一番最初の講義でした。気が遠くなるほど昔のことですが・・・。寡黙で内気な自分には、本に囲まれて生活するのが性に合っていると、ずっとそう思って大きくなり、図書館司書になりたいと志を持った頃のこと。ああそれなのに、図書館で仕事をするという人生にはなりませんでしたが・・・。

ところで皆様は国立国会図書館を利用したことがあるでしょうか。満18歳以上の方であれば、どなたでも利用できます。現在、国立国会図書館では、登録利用者制度を進めていて、入退場、貸出依頼、複写依頼などすべての申し込みは「利用者カード」1枚で対応するシステムになりました。(以前の登録者カードは切り替える必要があります)おかげで、待ち時間がだいぶ短縮されました。

もちろん、国会図書館には開架式の専門別の書庫もたくさんあって、職業柄私は、新館地下1階の音楽資料室をよく利用します。そこにはレコードメーカーのほぼすべてのカタログ(年譜)が保管されています。かつては、どこのレコードメーカーも年別にカタログを作成し保管していたものですが、資料はいつのまにか散逸し、整然と保管しておく場所さえなく、調査には苦慮するような事態になってしまいました。
件名別・年代別に整然と書架に並べられたこの資料室に来ると、なんだか集中して仕事に取り組めるような気がするから不思議です。音楽ジャンルあるいは発売年など、数少ない手がかりだけを頼りに資料を探すとき、いちいちページをめくるという、実にアナログ的で実にむなしいと思われる調査方法がいかに効果的であるかを、過去の長いなが〜い経験が何度も何度も教えてくれましたっけ・・・。

また、歴史的音源(SP盤の音源)の調査や活用のご経験はありますか?「れきおん」という愛称で親しまれている「歴史的音源専用ページ」というのもあって、邦楽、流行歌・歌謡曲、落語・漫才・浪曲・講談といったジャンルの音源を調べたり試聴したりすることができます。国会図書館は、堅苦しい専門書の保管庫ではなく、莫大な情報を活用できる場に変わりつつあります。館内のスタッフはどなたも大変親切に対応してくださり、PCの使い方はもちろん検索の裏ワザ、資料探しのアドバイスなど、専門知識をフル活用してサポートしてくれます。ぜひともHPだけでなく、実際に図書館に足を運んでみてください。

ところで、弊財団は、歴史的音盤アーカイブ推進協議会の会員として、SP盤のデジタル化音源および調査資料を国会図書館に納入しています。そもそもこのプロジェクトを率先して進めたと言っても決して過言ではありません。これまでにアーカイブ推進協議会では約5万件の音源とデータを、皆様に活用していただけるように国会図書館に納入しましたが、これで全部終わったというわけではありません。まだあと半分くらいと思われるSP音源が残されたままです。国家予算を投入しての事業ですから一朝一夕に物事が片付くわけではありませんが、これからもこうした財団の地道な活動を、どうか支援していただきたいと心から願っています!よろしくお願いします!

(やちゃ坊)