じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

鬼太鼓座 クロニクル (SACD6枚組) Part 2

いよいよ8月10日に鬼太鼓座 クロニクル (SACD 6枚組)が発売されます。前評判は上々で、いろいろな試聴会でもご予約をいただいております。今回は、収録されているディスク2のアルバムについてご紹介したいと思います。

<SACG-30006>
アルバム・タイトル:「鬼太鼓座 NEW」
CD番号:VICG-26(1993年10月21日発売)
タスキ・キャッチコピー:
「咆哮する鬼太鼓座!大気を切り裂き、大地を揺るがす音世界が、20bit K2スーパー・コーディングにより、鮮やかに甦る。」
プロデューサー:黒河内茂
録音ディレクター:藤本草
録音エンジニア:伊藤俊之
収録会場:飛島村公民館大ホール(愛知県)
収録日:1989年9月28日〜29日
録音レコーダー:三菱 X-850 (32chデジタル・レコーダー)
トラックダウン・スタジオ:ビクター青山スタジオ201編集室
トラックダウン再生レコーダー:三菱 X-850 (32chデジタル・レコーダー)
トラックダウン録音レコーダー:ビクター DAS-90 (2ch デジタル・レコーダー)
SACDマスタリング・スタジオ:ビクタークリエイティブメディア(株)マスタリングセンター
マスタリング・エンジニア:杉本一家
マスタリング再生レコーダー:ビクター DAS-900 (2ch デジタル・レコーダー)


 

〈収録曲・解説〉
1 鬼太鼓囃子 [序奏:海東流神楽太鼓]
 愛知県海部(あま)郡に伝わる神楽囃子・海東流は、太鼓のバチをクルクル回しながら打つ曲打ちと、それによって生まれる独特なリズム感が特徴である。
この海東流を序奏に、鬼太鼓座九名のメンバー全員が一列に揃って締太鼓を連打する。鬼太鼓座のステージで、オープニングに演奏される。
2 はちじょう
 八丈島に伝わる八丈太鼓のイメージを再構成した、ダイナミックな演奏。二つの大締太鼓の掛け合いを中心に、全員が中太鼓・大太鼓にわかれてアンサンブルを展開する。
3 島歌幻想曲
 はるか南の島々に歌いつがれてきた懐かしい島歌。そして黒潮の流れと共に、沿岸各地に残る美しい旋律を綴った組曲。大太鼓の連打、尺八と篠笛の二重奏、わらべ歌と、様々なイメージが展開される。
4 津軽三味線
 津軽三味線の二重奏。鬼太鼓座のメンバー中の双子の兄弟良平・公平が究極の合わせ弾きに挑む。ステージでは、一丁の三味線を二人で弾く「二人弾き」を披露している。この録音では、左右二丁の三味線で収録した。
5 やまと
 ここまで1〜4の曲にも登場しているが、最大直径七尺五寸(225cm)、重さ2トンの超大太鼓が中心に演奏される。この大太鼓は、唐木の一木作りで製作され、人間よりもはるかに大きな牛皮の振動は、想像を超えた重低音を生み出している。
 曲は、海鳴りを思わせるその響きにのせて、やまとなる日本の鼓動をイメージする。かつての日本海軍の超大型戦艦「大和」の幻影が、そのイメージに重なっている。
6 こもりうた
 日本の心のふるさと、各地で愛され歌われている“こもりうた”から、「中国地方の子守歌」「島原の子守歌」をえらび尺八の二重奏曲とした。3「島歌幻想曲」の中の尺八・笛の二重奏と同じく、三次元立体音像マイクロフォン“アーヘナ・コプフ”の使用により、広がりのある立体音が収録されている。
7 屋台囃子
 かつての名盤、第一期メンバーによる記念すべきファーストLPアルバム「座鬼太鼓座」にも収録されているレパートリー。今回の収録では、前記の超大太鼓を加え、又、メンバーの平均年令22才という、すっかり若返った鬼太鼓座が、そのパワーとセンスをこの曲にぶつけている。

SACDボックス収録に当たって>                                  藤本 草
 録音の打ち合わせに行った熱海ニューフジヤホテルで、鬼太鼓座は観光客向けのショーに出演していた。当時の「新生」座員はまさに発展途上、翌年から始まる全米一周公演に向けた日々を送っていた。しかし、何故アメリカだったのか。
「広島と長崎の子にアメリカを走らせる。」原爆が投下されたこの2つの街の出身者を座員に選んだ田さんの狙いは、そこにもあった。
 また、この録音は、デジタル録音が日々刻々と進歩していた頃で、東京からホールに運び入れたデジタル・マルチ・レコーダーは、ソニーPCM-3324に比べて格段に音の評価が高かった三菱X-850だった。このX-850、本当に尋常でなく重たかった。録音を終えて帰る東名高速道路の長い坂道。トラックではないワゴン・タイプの運搬車が悲鳴を上げていた。後で、車体のばねに亀裂が入っていたと聞いた。

(Yuji)