じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

豪華メンバーでした!歌舞伎・陰陽師!

「九月花形歌舞伎」の夜の部では、新作、夢枕獏作の「陰陽師 滝夜叉姫」が上演されました。運よくチケットを手に入れることができたので、うきうきわくわく観に行ってまいりました。

呪術を操る陰陽師安倍晴明市川染五郎さん、復讐の鬼となる平将門市川海老蔵さんが演じ・・・といったように、もう、華やかな俳優陣。今を時めく花形歌舞伎俳優、総出演。新歌舞伎座始まって以来の新作歌舞伎です。

新開場記念 新作歌舞伎 新作 陰陽師(おんみょうじ)滝夜叉姫

  第一幕 都大路   「晴明、百鬼夜行に遇いしこと」より
  第三幕 貴船山中  「将門復活。最後の戦いと大団円」まで
   
安倍晴明(あべのせいめい)  市川染五郎
平将門 (たいらのまさかど) 市川海老蔵
興世王(おきよおう) 片岡愛之助
桔梗の前(ききょうのまえ)  中村七之助
賀茂保憲(かものやすのり) 坂東亀三郎
平維時(たいらのこれとき) 坂東亀寿
大蛇の精(おろちのせい)  坂東新悟
蘆屋道満(あしやどうまん) 片岡亀蔵
平貞盛(たいらのさだもり) 片岡市蔵
雲居寺浄蔵(うんごじじょうぞう) 河原崎権十郎
小野好古(おのよしふる) 市川團蔵
源博雅(みなもとのひろまさ) 中村勘九郎
俵藤太(たわらのとうた) 尾上松緑
滝夜叉姫(たきやしゃひめ) 尾上菊之助

陰陽師」は夢枕獏による小説が原作。こちら、文藝春秋刊。平安時代陰陽師安倍晴明の活躍を描いた伝奇小説です。シャーロック・ホームズで言う、ホームズとワトソンのような補い合うコンビとして、晴明とその相方、源博雅が登場します。1993年に岡野玲子さんにより漫画化されておりまして、わたしは漫画だけ読んだことがあります。のちに、テレビドラマ化や映画化もしておりますので、ご存じの方が多いのではないでしょうか。


   
ストーリーは、こんな感じです・・・。
〜 朝廷に弓を引いたとして、20年前に討伐された平将門。将門は妻子を殺され、それが妄執となって世を呪います。そして一方、巷では奇怪な事件が次々と起こります。それと同時に天下を手中に収めようと目論む興世王が、将門の娘である滝夜叉姫とともに都で暗躍。彼らは事件にどのように関係するのか、彼らの目論見はなんなのでしょうか・・・。安倍清明が解き明かします。〜

新しい新作としての試みもたくさんありました。すべて現代語で、古典が苦手な人でも全くストレスなく鑑賞できるかと思います。音楽も、効果的に、西洋オーケストラの録音を使っていたようです。セリフや照明や衣装、小道具、舞台のつくりも、より現代的な感覚で創意工夫されていました。観ていただくと、古典がお好きな方はびっくりされると思いますが、新しい魅力を感じることでしょう!

「古典」と「新作」。古典は先人の積み重ねた財産。それをないがしろにして新作が作られてもきっと虚しいものになってしまうのでしょう。でも、古典を礎(いしずえ)に創作された「新作」は素晴らしい。古典と新作、両方がお互いに相乗して、伝統文化を盛り上げて行って欲しい、と思いました!

(弘)