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公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

西洋と対峙する浄瑠璃 〜 鑑眞寂静1250年記 山本純ノ介 管弦楽作品 個展演奏会

作曲家の山本純ノ介さんから、オーケストラ作品を集めた個展演奏会のご案内をいただきました。


鑑眞寂静1250年記 山本純ノ介 管弦楽作品 個展演奏会
[日時] 10月29日(火)18:30開場/19:00開演
[会場] 東京芸術劇場 コンサートホール
 JR・東京メトロ東武東上線西武池袋線 池袋駅西口より徒歩2分。駅地下通路2b出口直結
 アクセスは こちらのページ をご覧ください
[入場料] S席=5000円/A席=3000円 全席指定席
[チケット購入先] e+(イープラス)
[お問合せ] ミリオンコンサート協会 Tel.03−3501−5638(担当=岩永)
[曲目](演奏順未定)
 ・交響曲 鑑眞寂静1250年記(世界初演
 ・華厳の種子 ―弦楽のための―
 ・アンティフォナ・スーラ 交声曲 修羅〜管弦声楽と浄瑠璃による〜(世界初演
[出演] 竹本駒之助(浄瑠璃)、鶴澤津賀寿(三味線)、井上道義(指揮)、新日本フィルハーモニー交響楽団、JAPAN CHORUS FORCE-C

お祖父様もお父様もお母様も叔父様方もクラシック音楽家という環境に生まれ育ち、ご本人も東京藝術大学音楽学部作曲科でクラシック音楽を学んだ山本純ノ介さんは、学生時代、交響曲を作曲する意味を自問し、模索し、衣は西洋でも、日本、アジアの交響曲を刻む必要があるとの考えに至ったそうです。
そんな純ノ介さんが「自分の集大成」という「鑑眞寂静1250年記」は、6楽章から成る大編成による交響曲です。
純ノ介さんにとって、作曲上のもうひとつの大きな柱は人声、うた。「アンティフォナ・スーラ」は、左右2群に分けて配置された弦楽アンサンブルに、浄瑠璃と合唱アンサンブルが編入される、という編成です。この曲の作曲作業は、浄瑠璃人間国宝重要無形文化財保持者)竹本駒之助師と、三味線の鶴澤津賀寿師に、内在する「うた」を聴く作業から始まったといいます。「駒之助師匠の声を西洋のイディオムと対峙させ、協奏的な作品にしたい」と、純ノ介さんは語ります。
ところで「鑑眞」とは……小学生の頃、社会科の教科書に登場したような、おぼろげな記憶がありますが……奈良時代、仏教の教えを広めるため唐から日本に渡った高僧。航海途上の悪天候に苦しめられ、5回の失敗、失明の末、6度目にしてようやく渡日を果たして、4万人以上の人々に授戒を行ったと伝えられています(授戒=仏教において守らなければならない道徳規範や規則を、人々に授けること)。
その鑑眞が、自ら創建した奈良の唐招提寺で永遠の眠りについたのが、今から1250年前の763年。困難を乗り越えて志を貫いた鑑眞和尚に想いを馳せながら、山本純ノ介さんの音楽に耳を傾けたいと思います。

山本純ノ介さん公式ウェブサイト

(YuriK)