新宿からひと駅。京王新線の初台駅から続く商店街で、長く催されている秋の風物詩があります。それは、阿波踊り大会。「えっ!どうして東京で阿波踊り?」とどなたも驚くかと思います。私も、初めは「地元に縁のある踊りでもないのに、おかしな・・・」いぶかしく思ったものでした。
それが地域の人に尋ねてみると、意外と古くから続いていることが分かりました。本場の徳島の阿波踊りは400年以上も続いていますから、比ぶべくもないのですが、初台では40年以上もの歴史があるとのこと。そして踊り手の熱意も相当なもの、地域の小学生や大人が、仕事や学業の合間を縫って集まり、練習を重ねます。踊り手だけで毎年、800人にも上る、地域密着型の一大イベントです。
連名を揚げた提灯先頭に、街を練り歩きます。軽快で明るい”男踊り”。艶やかな舞いが美しい”女踊り”。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々・・・」との唄につられる様に、飛び入り参加で踊りだしてしまう観客もいます。底抜けに明るいその雰囲気が、ちょっと生真面目な日本人、一所懸命な現代の日本人の息抜きになるのかもしれません。
想像に難くないかもしれませんが、初台商店街で阿波踊り大会を始めたのは、元は街おこしの一環だったそうです。商店街では秋のお祭りを、屋台を出したり演芸をしたりという形で行っていたそうですが、どうしても集客できない。では人が集まるイベントをと企画する際に、当時より成功していた高円寺の阿波踊り大会を参考に始めたそうです。そんな風に広がっていった、阿波踊り。ホームページ「らくらくニッポン探訪」より、東京で行われる阿波踊りの一覧を掲載いたします。
◆7月下旬
小金井阿波おどり大会(小金井市)
かせい阿波おどり(中野区)
きたまち阿波踊り(練馬区)
神楽坂まつり(新宿区)◆8月上旬
オリナス真夏の阿波おどり(墨田区)
両国阿波おどり(墨田区)
中目黒夏まつり(目黒区)
糀谷阿波おどり(大田区)
久米川阿波踊り(東村山市)
なべよこ夏まつり(中野区)
清瀬ふれあいロード夏まつり(清瀬市)◆8月下旬
三鷹阿波おどり(三鷹市)
おんたけ阿波踊り(大田区)
下北沢一番街阿波おどり(世田谷区)
らんぶりんぐ阿波踊り(江東区)
大塚阿波踊り(豊島区)
三茶阿波踊り(世田谷区)
滝山・前沢みんなの夏祭り(東久留米市)
東京高円寺阿波おどり(杉並区)◆9月上旬
稲城阿波おどり大会(稲城市)
中村橋阿波踊り大会(練馬区)◆9月下旬
初台阿波踊り(渋谷区)
東京でどうしてこれ程阿波踊りが好まれるのか、考えるととても面白いですね。一つは、阿波踊りのもつ陽性のエネルギーが、好まれたのではないかと思います。もう一つは、東京は日本各地の出身者の集まりのため、東京で徳島の有名な踊りを披露することに、あまり違和感を感じない人が多いのではないでしょうか。さて、読者のみなさまはどのようにお考えですか?もし「これだ!」というご意見をお持ちの方がいらっしゃいましたら、財団のFacebookやTwitter等へお寄せいただけますと、ブログを書いた私としては嬉しいです。お待ちしています!
(弘)