じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

利休にたずねよ

ここの所の楽しみは、一日のさまざまな仕事が終わった後に読む「利休にたずねよ」(山本 兼一・PHP文芸文庫)でしたが、残念なことに読み終わってしまいました。歴史物としても、茶道ものとしても、ミステリーとしても、そして恋愛物としても、とてもおもしろいです。小説ってこれだけ手軽に楽しめるのだから偉大だよな、といつも思います。


こちらの本は、月刊誌「歴史街道」(PHP研究所)に2006から2008まで2年間連載された小説。第140回直木賞を受賞しています。利休が秀吉の策略で切腹する当日の章から始まります。どうして、そこに至るようになったのか、なぜ利休は茶の湯に異常にも感じられる程の執念を燃やすのか、時間を遡りながら物語の核心に迫る構成です。

映画『利休にたずねよ』より - (C)2013「利休にたずねよ」製作委員会

さて、とつぜん歌舞伎俳優・市川海老蔵さんの画像を挟んでしまいましたが、こちらは映画「利休にたずねよ」より頂戴しました。明日より全国公開されます。(どうぞの映画ホームページもご覧ください)

私個人としましては、映画の方が見たいような、でも見たくないような気がいたします。先に小説を読んでしまいますと、頭の中に甘美なイメージが出来上がってしまっていて、映像と自分の想像との相違に違和感を覚えてしまうから。そういう方は多いかと思います。小説の帯に入っていた、物語の鍵となる「緑釉の香合」の小さな絵すら、私は無い方が好みです。

利休が決して明かすことがなかった謎が、追憶をたどる毎に明かされる・・・そのわくわくを、この週末から映画で、そして小説で、是非みなさまもお楽しみくださいね。

(弘中)