じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「曠の會」に行ってきました

山田流箏曲の男性演奏家と尺八演奏家の会「曠の會(こうのかい)」に行ってきました(2013年12月14日(土)紀尾井小ホール)。
「曠の會」は「邦楽の発展・向上を目指し若手演奏家が集い、山田流箏曲を研究していこうと始まった会」ということです。左が当日のプログラムですが、会の命名は尺八の人間国宝青木鈴慕さん、題字は作曲家の伊福部昭さん。発足当時の期待のほどがうかがわれます。
第13回を数えた今では、当時の若手も中堅以上となり、三曲界の第一線で活躍しているメンバーによる人気の演奏会です。昨年は会場の紀尾井小ホールがいっぱいで入れなかった人もいたそうで、今年は2回公演となりました。といっても、第一部と第二部で重なっているのは「松竹梅」1曲だけ。入れ替え制ですが、両方聴いた方もいたことでしょう。
4時開演の第二部に出かけたところ、左右の壁際の席までいっぱいでした。スタッフの方によると第一部はもっと入っていましたよ、とのこと。客席の年齢層は幅広く、演奏家の方々のお顔も見えて活気がありました。
プログラムは山田流の名曲ばかり。今年は「月」を題材にした曲による構成です。

第十三回 曠の會 演目  ( )内は作曲者

第一部/1時開演
松竹梅 (三ツ橋勾当)
松風 (三世 山木大賀 初世 中能島松声)
赤壁 (中能島欣一)
竹生島 (千代田検校)
四季のすさび (初世 中能島松声)

第二部/4時開演
朧月 (三世 山勢松韻)
千里の梅曲 (山田検校
道成寺 (二世 杵屋長五郎 芳沢金七)
雨夜の月 (初世 中能島松声)
松竹梅 (三ツ橋勾当)

第二部でとくに印象に残ったのは「雨夜(うや)の月」です。この秋はなぜか「雨夜の月」を聴く機会が重なり、山勢麻衣子さん、朝香麻美子さんのリサイタルに続いて3回目でした。「太平記」から題材をとった曲で、藤原俊基卿が捕えられて鎌倉へ護送される道中記という哀切な内容です。男性4人と尺八による歌と演奏は、前の2回とはまたひと味違ったしみじみとした情感がありました。
最後の曲は「曠の會」同人全員の出演による「松竹梅」でした。

松竹梅
 萩岡松韻 田中奈央一 千葉真佐輝 山木千賀
三弦 大間隆之 鈴木厚一 三古谷裕 山登松和
尺八 青木彰時 川瀬庸輔 善養寺惠介 竹村皓盟 徳丸十盟 藤原道山 山本真山
(プログラムから)

箏のタテの萩岡さん以外、五十音順になっているのは偶然ではなさそうです。これもこの会ならではのことでしょう。
舞台では前列に尺八の7名が、青木彰時さんから山本真山さんまでほんとうに五十音順に並んでいて壮観でした。もちろん演奏も迫力があってすばらしく、大きな拍手に包まれていました。

(Y)