じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

正月はなぜめでたいか

そんな今更、3日後のことを言われても…...とお思いでしょうが、暫しお付合いください。
年末年始の休暇中に多少は片付けを、と家の中を見回したら、書架に1冊の本が目に留まりました。

正月はなぜめでたいか
暮らしの中の民俗学
岩井宏實 著
大月書店 刊 1985年







どんなきっかけで、どこで購入したのか、もう憶えていませんが、改めてページを繰ってみました。
「年中行事のそもそも」「結婚と女たちのそもそも」「生活の中のそもそも」の3つの章それぞれの中が、4ページぐらいずつの項目に分かれ、具体的なテーマの下に平明な文章で、ひとつひとつの「そもそも」が語られています。
「節分」の項目では、鬼が悪霊の象徴とされるようになったのは唐代の中国の様式を移入したもので、日本ではむしろ鬼は祖先の象徴、われわれの生活を守ってくれるものであったこととか、「子どもの日」の項目では、五月五日はもともと女性の節句であったこと、とか――なるほど!と改めて納得したり驚いたり。
本文に先立つ「はじめに」の中に、このように書かれていました。

いま必要なことは、われわれの暮らしの中のさまざまな事象・事物についての、「なぜ」「どうして」をたずね、日本人のつくり出した生活文化の根元と歴史を、その中に脈々と流れる意識・精神をも含めて理解することではないだろうか。そのことによって継承すべき伝統、再生すべき文化、是正すべき事象、捨象すべき事物などがおのずから明らかになろう。そうすることが心豊かな暮らしを営むことにもつながるはずである。

日本伝統音楽を扱う際にも通じる言葉のように思えます。

さて、私のスタッフブログ執筆担当も、お蔭様で1年になりました。いつもお読みいただいてありがとうございます。お楽しみいただけましたら幸いです。来年もよろしくお願いいたします。
皆様に、めでたき新年が訪れますように!


(YuriK)