「むすめふさほせ」と聞いてピンとくるのは、百人一首のカルタで遊んだことのある方ではないでしょうか。
百人一首は、読み札の歌を読んで、下の句だけ書かれた取り札をとります(地方によっては違う遊び方もあるそうですが)。歌を下の句までおぼえていなければ取れませんが、「むすめふさほせ」は最初の1文字だけ読まれれば、この歌だとわかる7枚の札(一字札、一枚札とも)の頭文字です。
たとえば「あ」で始まる歌は「秋の田の〜」「あしびきの〜」「淡路島〜」などたくさんあります。さらに「あき」から始まるのは「秋の田の〜」と「秋風に〜」があり、3文字目まで注意深く聞かなければお手つきになってしまいます。
その点、「む・す・め・ふ・さ・ほ・せ」で始まる歌は1首ずつしかないので、おぼえておくと有利というわけです。カルタ取りはもうずいぶんしていませんが、一生懸命思い出してみました。
む「村雨の〜 きりたちのぼる〜」
す「住の江の〜 ゆめのかよいじ〜」
め「めぐり逢いて〜 くもがくれにし〜」
ふ「吹くからに〜 むべやまかぜを〜」
さ「寂しさに〜 いづくもおなじ〜」
ほ「ほととぎす〜 ただありあけの〜」
せ「瀬をはやみ〜 われてもすえに〜」
いくつかアヤシイのがあってカンニングしましたが、歌の初めと下の句の初めはけっこう出てきました。われながら子どもの頃の記憶力はすごい! ただしあくまでカルタ取り用の記憶なので、歌を全部正確に覚えているわけではありませんが。
さて、「むすめふさほせ」を久しぶりに思い出したのにはわけがあります。
2014年1月24日(金)に開催される「百人一首の世界〜いにしえの恋のうた〜加賀美幸子、WASABI」の公演にちなむ「恋のうたプロジェクト」で、「一番好きな百人一首の歌」を募集しているからです。
11月に発売された加賀美幸子さんの朗読と音楽でつづるCD『百人一首〜恋の歌〜』に収録されている恋の歌50首から選ぶというもので、こちらの投票ページに一覧があります。→「恋のうた」プロジェクト〜恋にまつわる短歌を大募集!!【締切】 | じゃぽマガジン | ページ 2
どれにしようかと眺めていたところ、子どもの頃、お正月に家族で遊んだことなど思い起こされました。札を読むのは祖父か母、普段はめったに子どもたちと遊んだりしない父も加わって、大人も子どもも自分の得意札を取られまいと夢中になったものでした。得意札をふやそうと「むすめふさほせ」を覚えたのもそのころだったと思います。いくつかお気に入りの歌もあったのですが、意味など知らずに遊んでいたので、あらためて恋の歌から一つ選ぶとなると考え込んでしまします。
たとえば「かくとだに えやはいぶきのさしも草 さしも知らじな 燃ゆる思いを」などは、「燃ゆる思い」とあることからも恋の歌に違いないのですが、なぜか子どもの頃は「かくと谷」という谷にはえている「さしも草」(どんな草かはわからず)がぼうぼう燃えている、というイメージを勝手に作って納得していたのでした。
1月24日は百人一首の「恋の歌」から投票で選ばれた「うた」、また新・純邦楽ユニットWASABIのメンバーたちが選んだ「恋の歌」を、曲を付けて発表するとのこと、楽しみです。どうぞご来場ください。そして、皆さまもどうぞご応募ください。私ももう少し悩んでみることにします。
(Y)