じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

百人一首 百うたがたり by 天野慶


それとなく知ってはいても、大人になって色々と、時雨殿館長の吉海直人先生の本(一昨日のブログでご紹介)など読んでみると「こんなに深いものだったのか!!」と改めて発見の連続と言える百人一首に感嘆しております。当財団では1/24にこちらの公演を行います→百人一首の世界〜いにしえの恋のうた〜加賀美幸子、WASABI
そしてこの公演を記念して開催している 「恋のうた」プロジェクト において、募集した短歌の選者を務めて下さるのが、歌人天野慶さん。

【天野 慶】あまの けい
歌人。「短歌人」会同人。NHKラジオ「ケータイ短歌」出演や、朝日小学生新聞「うたうことのは百人一首」連載。
ちはやふる』(末次由紀講談社)93首・95首に短歌を提供するなど幅広いジャンルで活動。
主な著作に『ウタノタネ』(ポプラ社)、絵本『だめだめママだめ!』(絵・はまのゆか/ほるぷ出版)など。

彼女の百人一首に関する著書、『百人一首 百うたがたり』(幻冬舎エデュケーション)をご紹介しましょう。去年の三月に刊行された本です。オビに「百人の歌人の百のものがたりを 現代女流歌人が 雅やかに よみがえらせる」とあるように、天野さんがそれぞれの一首に対して、その歌の詠まれた背景を物語にされています。

例えばこのところ私が気に入っている第十二首、
天つ風 雲のかよひ路 吹きとぢよ 乙女の姿 しばしとどめむ
天野さんのご想像によるストーリーに続き(本書の前書きでも、研究者ではない自分は、歌が生まれるときの思いをより大切に書いたと)美訳と称する現代語訳があります。

天空を吹く風よ、どうか雲のなかの道を閉じてしまっておくれ。舞を終えて空へと帰ってゆく天女たちを、今しばらく地上に留めておきたいから

現実に見えるものではないとしても、その光景が心に浮かんだとき、真の美を一瞬垣間見たような爽やかで満たされた気持ちが溢れてきます。

あと各首に付いている人物相関図の部分に、さらなる興味をかきたてられました。百人一首所収の百人が個々の人格を超えてその関係性の中でより立体的に見えてきますね。そして、画を描いていらっしゃるKeiさんはご本人ではないとのことでした…
「恋のうた」プロジェクト〜恋にまつわる短歌を大募集!!【締切】 | じゃぽマガジン
百人一首の殿堂、時雨殿 - じゃぽブログ
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(J)