じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

学校公演 落語!晴の輔さん。

様々な伝統文化の担い手が、こどもたちに日本の伝統を楽しんでもらう機会を作りたい、と学校公演・学校ワークショップをしていらっしゃいます。前にご紹介したのは、都内の小学校で授業の一部として行われた三曲協会のミニコンサート、またアウトリーチでの児童へのアプローチもこちらのブログ等でご紹介させていただいておりますし、先週金曜日に公演があったばかりのWASABIも精力的に学校公演を行っています。

さて、私も先日学校公演に父兄(観客)として行く機会に恵まれました!立川晴の輔さんの寄席です。

この日、私の鑑賞した演目は二つありました。「寿限無」と「桃太郎」。初めの「寿限無」は古くは長名と言われたという通り、『寿限無 寿限無 五劫の擦り切れ・・・・』と続く言葉遊びの全文を、長ーい名前として付けられてしまった子供のはなし。今回の寄席では、古典的に話す前半と、現代のどこでもいる子供のお話として盛り上げる後半とで、うまく小学生の興味を保つように工夫されていました。NHK教育テレビにほんごであそぼ」で「寿限無」を扱っていたこともあり、またその学校では授業でも取り上げたことがあるとかで、ほぼ全員が「寿限無」をそらんじられる状態。自分の知っていることが題材になった噺は、子供たちにはさぞ楽しかったことでしょう。

(春の輔さんホームページより)

そして次の「桃太郎」は、父親が子供を寝かしつけようと昔話をするおはなし。桃太郎の物語をこどもに聞かせるのですが、ちくいち子供から「それいつのはなし?」「その山、どこにあるの?」と質問が飛んできて進みません。苛立ちが頂点に達しようとした父親に・・・、なんと子供が「桃太郎」の本当に意味するのは『親孝行』であったり『人としてあるべき道』ということなんだと、逆に諭します。

と、内容自体は、親が子に名づける際に込める期待、親孝行とは何か、というような硬いものなのですが、全く硬さを感じさせません。噺への導入に、小学生に質問を投げかけてみたり、小学生に身近な話題を振ったりするのですが、巧みなこと。最後まで飽きさせず、楽しませ、100%子供たちに「落語って楽しい」と思わせたことでしょう。そして、頭のどこかに噺の硬いテーマも残ったのではないでしょうか。

以下、ご本人の公式ウェブサイトより。本当によい公演でした、春の輔さん、ありがとうございました。

プロフィール:

志の吉改め 立川晴の輔(たてかわ はれのすけ)

落語立川流 立川志の輔一門
1972年11月21日生まれ、兵庫県出身
東京農業大学農学部卒業

◆経歴
平成 9年(1997) 立川志の輔に入門
平成15年(2003) 二ツ目に昇進
平成20年(2008) 東西若手落語家コンペティション グランドチャンピオン
平成25年(2013)12月 真打に昇進。志の吉から晴の輔へ改名

全国各地での落語会、ビジネス落語講演会、子供落語会をはじめ、結婚式の司会、
イラストレーターや会計士と異業種コラボレー ションを行うなど幅広く活動中。

(弘)