じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

NHK交響楽団 / ベートーヴェン:交響曲 第9番 1980年代 Part 4

今回はDisc 5(1987年)の指揮者「ベリスラフ・クロブチャール」氏のプロフィールをご紹介させていただきます。


じゃぽ音っと作品情報:NHK交響楽団 1980年代編 ベートーヴェン:交響曲 第9番「合唱」ニ短調 作品125('80-'82, '86-'89)(7枚組) /  ラルフ・ワイケルト、ズデニュク・コシュラー、オットマール・スウィトナー、ベリスラフ・クロブチャール、フェルディナント・ライトナー、若杉弘

ベリスラフ・クロブチャール(1924〜)
Berislav Klobucar
クロアチアザグレブ生まれ。マタチッチのもとで指揮を学んだのち、ザルツブルクモーツァルト音楽院でクラウスに師事した。1943年にザグレブ歌劇場の副指揮者として指揮活動を始めたが、51年にウィーンに亡命し、オーストリア国籍を取得。この頃、ベルリン市立歌劇場(現ベルリン・ドイツ・オペラ)に客演。1953年にウィーン国立歌劇場にデビューし、以来93年まで、50演目・1100回以上にわたって同歌劇場の公演を指揮した。80年には同歌劇場の来日公演で初来日し、R・シュトラウスの《エレクトラ》(日本初演)と《ナクソス島のアリアドネ》を指揮している。60-71年にグラーツ歌劇場、72-81年にストックホルム王立歌劇場の音楽監督、83-88年にニース歌劇場の首席指揮者を務めるなど、ヨーロッパ全域を舞台に活躍。68年には、メトロポリタン歌劇場にデビューし、ワーグナー指揮で賞賛を集めた。クロブチャールは、落ち着いたテンポ設定と、声とオーケストラをまとめる技量で高く評価されたほか、ドイツ、オーストリア、フランス、イタリア、ロシアの有名作品をはじめとして、多岐に渡るレパートリーを誇り、いわゆる職人的なオペラ指揮者のイメージが強い。とくに注目を集めたのはドイツ作品の演奏で、ボンのベートーヴェン・ホール開場記念演奏会での《フィデリオ》(1958)、バイロイト音楽祭での《ニーベルングの指輪》全曲上演(1964)、ニース・オペラの《指輪》プロダクションのパリ(シャンゼリゼ)上演(1988)、ストックホルムでの《パルジファル》上演(1995)などの実績を残している。89年にはパレルモでモンテメッツィの《三人の王の恋》を指揮するなど、知名度の低いオペラ作品の紹介にも積極的に取り組んだ。録音では、ウィーン国立歌劇場でのスメタナ売られた花嫁》(1960)、プッチーニ蝶々夫人》(1961)、メトロポリタン歌劇場でのワーグナーワルキューレ》(1968、「メトロポリタン・オペラ・ライヴ・シリーズ」)などがある。NHK交響楽団との共演では、マーラー大地の歌》、R・シュトラウスツァラトゥストラはかく語りき》、リスト《ファウスト交響曲》など、ドイツおよびオーストリアの大曲を中心としたプログラムを指揮している。
(井上征剛)



(Yuji)