じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

ひとみ座 乙女文楽

乙女文楽をご存知でしょうか?
文楽といえば、ユネスコ無形文化遺産にも登録されている、3人の男性の遣い手で1体の人形を操る伝統の人形芝居。やはり男性が演奏する義太夫節が伴奏を務めます。
一方、乙女文楽では、女性がひとりで人形を操り、女流義太夫が伴奏します。
明治時代に、当時「娘義太夫」と呼ばれた女流義太夫が大流行。夏目漱石正岡子規志賀直哉らの文豪たちも夢中になったとか、「追っかけ」という言葉はここから始まったとか言われていますが、そうした背景あって、昭和初期に、文楽人形遣いであった五世桐竹門造師たちが乙女文楽を大阪で創始、一時は隆盛を極めたそうです。
ひとみ座乙女文楽は、人形劇団ひとみ座の女性座員が、五世桐竹門造師の直弟子としてその正統を伝える唯一の演者である桐竹智恵子師から40年来指導を受け、公演実績を積んできたもので、現在では唯一その芸系を継承し乙女文楽を名乗ることを許された、専門劇団です。
近く、ひとみ座乙女文楽若手公演が開催されますので、ご紹介しましょう。


第4回乙女文楽若手公演

[日時]
 5月3日(土)15:00
 5月4日(日)11:00 / 15:00
  開場は各回開演30分前

[会場] ひとみ座第1スタジオ
 東急東横線元住吉駅」東口よりバス「井田営業所行」「蟹ヶ谷行」「新城行」で約10分→「井田営業所」下車徒歩1分。同駅西口より徒歩約20分
 JR南武線武蔵新城」駅南口よりバス「井田営業所行」「井田病院行」「川崎駅西口行」「元住吉行」で約15分→「井田営業所」下車徒歩1分
 アクセスはこちらをごらんください

[演目]
 「増補大江山酒呑童子」(ぞうほ おおえやま しゅてんどうじ)戻り橋の段
 「傾城阿波の鳴門」(けいせい あわのなると)順礼歌の段

[入場料] 前売=2,500円 / 当日=3,000円

[チケットお申込] こちらからどうぞ!

〜 あ ら す じ 〜

= 増補大江山酒呑童子 戻り橋の段 =
京都一条の戻り橋。源頼光の四天王のひとり渡辺綱が戻り橋に差し掛かると、そこに美しい女が佇んでいる。行き先を尋ねると五条までという。それでは送ろうと一緒に歩き始めると、何と川面に映った姿は恐ろしい鬼の姿であった。綱は「魔性の者、本性を現せ」とつめより大立ち回りになる。
大江山の鬼退治で有名な源頼光の家来を主人公とし、鬼女との出会いを描いた舞踊劇。美女が一瞬にして鬼女に、そしてまたすぐ美女にもどる“ガブ”や、激しい立ち回りが見どころ。

= 傾城阿波の鳴門 順礼歌の段 =
大阪の町はずれに、十郎兵衛とお弓の夫婦が住んでいる。十郎兵衛は元阿波の国(徳島)玉木家の家臣。家の宝刀が紛失したため、盗賊となって刀の捜索を続けている。3歳の娘を残し、国元を離れての仮住まい。ある日、その家を巡礼娘が訪れた。お弓はこの娘こそ別れたわが子と気づくが、盗賊となった両親のために禍がおよぶのを恐れ、名乗らずにそのまま帰すのだった。
親を慕う娘と、名乗りたくても名乗れない母の切ない情愛を描いた、人形浄瑠璃の人気演目。各地の伝統人形芝居でも繰り返し上演されてきた。

国内各地で公演活動を行うほか、海外においても、フランス、スペイン、メキシコ、アメリカ、中国、インド等世界各地で公演し、「人形とは思えないほどの繊細な表現力!」と絶賛される乙女文楽。「傾城阿波の鳴門」では竹本越孝師の浄瑠璃と鶴澤寛也師の三味線による生演奏。「増補大江山酒呑童子」では、女流義太夫の故・竹本素八師、三味線の故・鶴澤津賀昇師と故・鶴澤駒登久師がひとみ座公演用に演奏した貴重録音が聴けるのも、外せない楽しみです!
当日は、人形の仕組みと遣い方についての説明コーナーも。男性3人遣いだった文楽人形を女性1人遣いにした、その驚きのアイディアと技が公開されます。

会場は、人形劇団ひとみ座の本拠地。エントランスでは、ひょっこりひょうたん島ドン・ガバチョさんたちが出迎えてくれます。黄金週間の一日、ちょっと足を延ばして川崎まで、人形の世界を訪れてみてはいかがでしょう?時間に余裕を持たせて、元住吉駅からブレーメン通りと川沿いをそぞろ歩くのも楽しいですよ〜

第4回乙女文楽若手公演オフィシャルサイト


(YuriK)