じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

村治佳織 SACD コレクション2  part 4

好評発売中の今作品ですが、今回は4枚目のアルバムのライナーノーツをご紹介いたします。


スペイン
〈 録音:1993〜2002年 発売:2005年10月21日 〉
ここでは、DVD「コントラステス」からの曲が更にハイクォリティーな音で聴けるので、その収録について記したいと思う。この収録には、CD「アランフェス協奏曲」の録音を担当した服部氏が東京のスタジオから、それ以外の全てのCD6枚を担当した高島氏がウィーンから、世界で初めてのアランフェス宮殿内での演奏収録のためにマドリッドに結集した。収録されている「古風なティエント」は、壮大なアランフェス宮殿内の大理石の階段踊り場で、音も同時に収録、一方、戸外やカメラが激しく村治の周りを動き回るなど音響的に条件の悪い4曲は、あらかじめ、それぞれのシーンをイメージしながらスタジオで収録された。「粉屋の踊り」を聴いて、響きのない戸外、「暁の鐘」ではお城の狭い尖塔の中、「ファンダンギーリョ」での石づくりの庭、「ドビュッシー讃歌」での天井の低い建物の中を、ある程度想像できたならスタジオでのマイク・セッティングの成果に他ならない。最後に、今回のマスター・テープの音に限りなく近づいたシングル・レイヤーSACDの音を聴いて真っ先に思ったことは、この制作に関わったものとして演奏者、村治佳織さんにまず一番にこの素晴らしい音を聴いてほしいと言うことでした。(野島友雄) 

(Yuji)