じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

グランドシネマ 坂東玉三郎 日本橋


画像は日本橋 | 作品一覧 | シネマ歌舞伎 | 松竹より

5月16日(土)、初日の新宿ケイズシネマでドキュメンタリー映画スライ・ストーン』を観ました。「ファミリー・アフェア」「サンキュー」「シング・ア・シンプル・ソング」等々、スライ&ザ・ファミリー・ストーンの楽曲に感動した経験のあるかたなら観る価値ありです。全国順次公開とのこと→SLY STONE スライ・ストーン オフィシャルサイト

翌日は泉鏡花作『グランドシネマ 坂東玉三郎 日本橋(にほんばし)』を鑑賞、ここからが本題。チケット販売サイトなどを見ても「※本作は歌舞伎ではありません」と書いてありますがそれはそれとして、冒頭から各出演者の指先まで神経が行き届いた繊細な演技に目を瞠り、映像編集も担当したという玉三郎の透徹した美意識が描く世界に引き込まれていきます。

25年ぶりに玉三郎がお孝を演じ、演出にも携わった日生劇場日本橋』(平成24年12月)。大きな話題を呼んだ舞台が、玉三郎自らの編集によって生まれ変わった映像作品、それがグランドシネマ『日本橋』です。
6台のカメラがとらえた膨大な映像から、玉三郎が選び抜いたカットの集大成、そこに、劇場の雑音を取り除きながらも、舞台作品としての写実の音も消し去ることなく、物語のリアルな世界観にこだわった音が重なります。
公演の休演日に、わざわざグランドシネマのために芝居を上演して撮影し、「普通に映画を撮ったほうがよほど早い」と玉三郎が話したほど、編集に編集を重ねて完成したグランドシネマ『日本橋』。

16日上映スタート《月イチ歌舞伎》グランドシネマ『日本橋』 | 歌舞伎美人(かぶきびと)から引用
こういった「舞台を撮影した映画」に有利な点があるとすれば、当然まずは細かいところを拡大して観ることができるということになります。オペラを映画館で上映するMETライブビューイングも勿論素晴らしいのですが(私も実際何度も足を運んでいます)、今回のような出演者が歌うわけではない演劇芸術の方が細部を拡大出来るメリットは多いのではないかと思います。途中休憩が無く舞台転換の時間も無いため全体はスムースに進行し、映画に没頭しやすい面もあるのでしょう、終劇近くになるとすすり泣いているかたも多かったです。上映時間は140分を超えます。
本日、22日(金)で終了してしまうのですが、愛知県ミッドランドスクエアシネマでは6月20日から公開になるようです→ミッドランドスクエア シネマ

今年はシネマ歌舞伎10周年ということで「月イチ歌舞伎」というキャンペーンを展開しているようです→月イチ歌舞伎 | 作品一覧 | シネマ歌舞伎 | 松竹 9月にまた泉鏡花作品を上映するようですので、今から楽しみにしています。

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(J)