じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

高千穂の夜神楽

先日、お茶の水明治大学リバティタワーにたまたま立ち寄ったところ、オープン講座「明治大学・宮崎県連携講座 宮崎の神楽と日向神話」が開かれていました。終了に近い時間だったのですが、席があるということで「高千穂の夜神楽(よかぐら)」を少しだけ拝見することができました。

リバティホール正面の一画が四角い神庭(こうにわ)に見立てられ、注連縄とともに飾られた彫物(えりもの)と呼ばれる切り紙の美しさが、まず目をひきました。

配布された「高千穂の夜神楽ミニ解説」には、次のようにありました。

高山を通りて行けば面白し いつも絶えせぬ御神楽の音秋の収穫も終わり、祖母山頂が樹氷で覆われ始める頃、神話と伝説のまち高千穂では、氏神様のお祭りが始まります。高千穂の村祭りは収穫感謝祭としての秋祭り、太陽復活・鎮魂儀礼としての冬祭り、五穀豊穣祈念余祝の春祭りとして、氏神様を神楽宿と呼ばれる里の家にお招きし、夜を徹して33番の神楽を奉納するのが昔からのシキタリです。ただ、近年は舞人や村役目の都合で夜神楽が奉納出来ない集落もあり、そうした集落は日神楽と称して、お昼に式3番と呼ばれる神楽を中心に数番奉納しています。

天孫降臨の地として知られる宮崎県高千穂地方に伝承されている神楽は、天照大神が天岩戸に隠れられた折に岩戸の前で天鈿女命が調子面白く舞ったのが始まりとされているそうです。毎年11月中旬から翌年2月にかけて奉納されるとのことで、今がまさに神楽シーズンの始まりです。
現地まで行かなければ見ることができない貴重な神楽を、ごく一部ですが垣間見る幸運に恵まれました。笛と太鼓が響きわたり、舞人が見物人のなかに入ってきたり、要所要所で拍手がわき起こったり、最後には紅白の餅が配られたりと、しばし夜神楽の気分を味わいました。
「高千穂の夜神楽」は、高千穂町内24ヵ所に伝承される夜神楽全体を指し、国指定重要無形民俗文化財に指定されていますが、ほかにも宮崎県には多くの地域で神楽が伝わっています。

2000年3月、国立劇場第87回民俗芸能公演の際に収録された「高千穂の夜神楽」がVHSビデオ4本組で発売されていましたが、残部はごくわずかとなってしまいました。→ じゃぽ音っと作品情報:高千穂の夜神楽 〜2000年3月国立劇場第87回民俗芸能公演〜(4本組) /  宮崎県高千穂町三田井浅ヶ部神楽保存会

やはり高千穂系神楽に分類される山深い秘境の地、諸塚村の戸下(とした)神楽は50番を数える夜神楽ですが、こちらは2008年7月、東京の草月ホールで11番を上演した際に収録したものが、DVD2枚組で発売されています。戸下集落以外では初めて公開された秘曲を擁する貴重な映像です。→ じゃぽ音っと作品情報:戸下神楽/宮崎県諸塚村戸下神楽保存会(2枚組)

ビデオやDVDを見た後は、現地でぜひ体験したいものです。最後にミニ解説から、もう一つご紹介します。

旅人も一夜氏子観光で見学に来られたお客様も一夜氏子です。村祭りは総指揮の「元締め」を中心に「中世話」「神使われ」「注連の番」「台所役」等、里人の祭役目で運営されます。どうか村々のシキタリをお守りいただき神々・里人とともに神遊びをお楽しみください!

→ 夜神楽 | 高千穂町観光協会 | 宮崎県 高千穂の観光・宿泊・イベント情報

(Y)