「伝統を未来に・・・」 2016

明けましておめでとうございます
日本伝統文化振興財団は、本年も伝統芸能の記録・保存・公刊、公演事業、国際交流、邦楽教育支援など、幅広い視点で伝統文化を支える事業活動を推進して参ります。
皆様には本年もご支援ご協力を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

昨年の暮れ、平成27年度（第70回）文化庁芸術祭賞の発表があり、レコード部門で当財団の「虚無僧尺八〜伝承の軌跡／酒井松道」（CD5枚組）が優秀賞を受賞しました。
酒井松道師は、自身が継承した尺八古典本曲139曲すべてを、4年の歳月をかけて新録音で残すという、前人未到の偉業を成し遂げ、CD三部作として結実させました。「虚無僧尺八〜伝承の軌跡」は、「明暗真法流本曲全集」（CD11枚組）、「尺八の神髄　明暗対山派全集」（CD4枚組）に続く三部作の完結編です。「尺八の神髄　明暗対山派全集」は昨年度の芸術祭賞で大賞を受賞しており、2年続けての受賞となりました。
受賞理由で「（酒井松道師の）精力的なとりくみ、丁寧な解説書、そして大作に挑む制作会社の姿勢が高く評価された」と当財団のことにも触れられていたのは、何よりうれしいことでした。
酒井松道師は「伝えられた曲を残したい」というひたすらな願いによってこの企画を実現されました。これはまさに当財団のモットー「伝統を未来に・・・」と重なるもので、このような形で実を結び、評価されたご縁をありがたく思います。
一つ残念なことは、大部な解説書にわかりやすい概論と詳細な曲目解説を執筆してくださった山川直治先生が、昨年12月25日、帰らぬ人となってしまったことです。亡くなるちょうど1週間前に受賞の一報とお礼を伝えることができたのがせめてもの慰めです。