じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

国立劇場開場50周年

東京、三宅坂国立劇場が、今年開場50周年を迎えました。9月3日の文楽公演を皮切りに、来年3月まで記念公演が目白押しで、楽しみです。

開場したのは昭和41(1966)年11月1日だそうです。開場記念はどんな公演、演目だったのでしょうか?そして出演者は?と思いたって、「文化デジタルライブラリー」で公演記録を検索してみたところ、「国立劇場祝賀公演」として、大劇場・小劇場ともに『翁千歳三番叟』が演じられたようです。
大劇場は、翁が三代目市川寿海、千歳が七代目尾上梅幸、三番叟が十七代目中村勘三郎、また小劇場は、翁が花柳壽應、千歳が七代目中村福助、三番叟が八代目坂東三津五郎と、いずれも豪華なメンバーです。
国立劇場の敷地内にある「伝統芸能情報館」では「国立劇場50年の歩み展」が開かれていますので、そちらも要チェックです。

9月10日(土)、国立劇場開場50周年記念公演の9月舞踊公演「道成寺の舞踊」(1時の部)に行ってきました。
幕開けは50周年の開幕を寿ぐ『七福神船出勝鬨』。恵比須さん役の山村友五郎さんをはじめ実力派男性舞踊家5名で結成された五耀會の出演で、楽しくも華やかな舞台でした。つづいて「道成寺三題」で、荻江節『鐘の岬』、新曲『切支丹道成寺』、義太夫長唄京鹿子娘道成寺』。
プログラム
昭和の新作『切支丹道成寺』は、道成寺の物語を戦国末期に移したもので、舞台はお寺ではなくキリシタンの礼拝堂。箏や三味線にオルガン、ヴィブラフォンなど西洋の響きを加えた曲がその雰囲気をよく表していて、音楽にも興味をひかれました(作曲者の平井澄子さんらによる録音音源を使用)。
京鹿子娘道成寺』を踊ったのは女性舞踊家の中村梅彌さん。歌舞伎舞踊そのままに約1時間の大曲を踊りきり、迫力がありました。お父様の中村芝翫さんの道成寺歌舞伎座で拝見したことなど思い出しながら楽しみました。
このあと、2017年3月までの50周年記念公演ラインアップはこちらをご覧ください。→ 50周年記念公演ラインアップ|国立劇場50周年記念サイト|国立劇場
歌舞伎、文楽、邦楽、舞踊のほか、声明、雅楽、太鼓、民俗芸能、琉球芸能まで充実した内容で、この記念の年に出会えたことを幸せに思います。

(Y)