じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「奇蹟の爪音 衛藤公雄」のCD好評発売中!!


かつて全米でこんなに活躍したアーティストがいたことを、ご存知ですか?「もう一人の宮城道雄」ともいうべき、盲目の天才箏曲家衛藤公雄!

音楽の殿堂カーネギーホールでのリサイタル、コンサートホールの最高峰リンカーンセンターで日本人初のリサイタル、全米40州を越える演奏ツアー、著名レーベルからのLPアルバム発売、ストコフスキー指揮フィラデルフィア管弦楽団との共演、ビートルズに先駆けての武道館初のコンサート開催・・・こんな空前絶後の音楽活動を成し遂げながら、人々の記憶から忘れ去られてしまった衛藤公雄・・・。

このCDは、2012年12月24日に他界した衛藤の遺品から発見された膨大なオープンリールテープに残された演奏記録の音源を精選、衛藤公雄が辿った音楽家としての軌跡をデジタル復刻によって初めて明らかにするものです!
箏の爪音の美しさに人生の全てを懸けた箏曲家・衛藤公雄、この2枚組のCDは、その輝かしい生命の記録です!!

DISC-1には、宮城道雄作品と古典作品から7曲。DISC-2には衛藤自身の作品から10曲収録しました。
●収録内容
【DISC-1】宮城道雄・古典篇
1)瀬音 宮城道雄作曲(KIMIO ETO NEW YORK'S FIRST KOTO RECITAL、カーネギーホール、1961/10/1)
2)春の海 宮城道雄作曲(衛藤公雄第二回定期演奏会国立劇場大劇場、1968./3/30)
3)さらし風手事 宮城道雄作曲(収録場所不明、1973頃) 
4)秋の調 小林愛雄作詞 宮城道雄作曲(収録場所不明、1975頃)
5)水の変態(一部抜粋) 大和田建樹作詞 宮城道雄作曲(衛藤幸明サマーコンサート、中央区立中央会館、1982./7/23)
6)五段砧 光崎検校作曲(衛藤幸明定期演奏会中央区立中央会館、1980/2/26)
7)六段 八橋検校作曲(スタジオライブ、ビクタースタジオ302、1982/10/18)
【DISC-2】作品篇
1)雪の幻想 (KIMIO ETO NEW YORK'S FIRST KOTO RECITAL、カーネギーホール、1961/10/1)
2)潮流 (衛藤公雄第一回定期演奏会国立劇場小劇場、1968/1/25)
3)建設の響き (衛藤公雄音楽生活三十五周年記念演奏会、サンケイホール、1968/10/18)
4)軍艦マーチ (生田衛藤流講習会、広島市生田衛藤流稽古場、1972/1/29)
5)箏独奏による さくら (生田衛藤流稽古場、1973/10) 
6)希望の曲(勝利への曲) (収録場所不明、1975頃)
7)春の姿 (収録場所不明、1975頃)
8)箏尺八二重奏曲 (衛藤幸明定期演奏会中央区立中央会館、1980./2/26)
9)荒城の月変奏曲 (スタジオライブ、ビクタースタジオ302、1982/10/18)
10)輝ける未来に寄せて (スタジオライブ、ビクタースタジオ302、1982/10/18)

<主な演奏者>歌・箏:衛藤公雄、十七弦:大塩寿美子、尺八:山口五郎、箏:初代米川敏子、ヴァイオリン:江藤俊哉


●作品情報
タイトル:「奇蹟(きせき)の爪音(つまおと)/箏のレジェンド 衛藤公雄(えとうきみお)」
Miraculous Resonances:The Koto Legend Kimio Eto
発売日 :11月9日予定
仕様  :CD2枚組
商品番号:VZCG−8572〜3
定価  :4,000円+税
・執筆者 :久保田敏子(京都市立芸術大学名誉教授)/谷口和巳(小学館刊『奇蹟の爪音』著者)/藤本 草(公財・日本伝統文化振興財団会長)
・全曲ライヴ音源
・別冊解説書付き(本文52頁、解説、年譜、プロフィール、英文サマリー等)
・ENGLISH NOTES ENCLOSED
発売元 :公益財団法人日本伝統文化振興財団
販売元 :株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント
※このCDは一般発売商品につき、全国のCDショップ店及びネットショップで購入いただけます。
じゃぽ音っと作品情報:奇蹟の爪音/箏のレジェンド 衛藤公雄 /  衛藤公雄

●衛藤弘幸(生田衛藤流 家元) 衛藤公雄 長男
レコード会社に勤務しながら、長い間衛藤公雄の音楽は、日本では時流に合わない古臭いものだと思わざるを得ないまま長年過ごしてきましたが、このCDを聴かせて頂いて、果たして本当にそうなのだろうかと改めて考え直しています。是非、若い方々の感想を聴きたいと思っています。

●スティーヴ エトウ(パーカッショニスト) 衛藤公雄 次男
幼少の私には父親はおらず、敬語で会話する衛藤先生という存在のみ。しかしながら今回の音源を聴きつつ思い出すのは、二人で散歩したセントラルパーク、帰国後も度々留守にする父を羽田で涙目で見送ったことなど。やはり親子でした。              

●レナード衛藤(太鼓奏者) 衛藤公雄 三男
秘蔵音源を聴くというよりも、その時代の空気に入り込むような感覚。昔のジャズのような一発録りの臨場感と気迫。そして、箏とともに人生をドライブさせていた父の音楽人生を感じることができました。私も50か国以上で演奏してきましたが、音楽に自由を求め、人生をドライブさせていくこと。音楽家として最もクリエイティブな生き方を再認識したアルバムと言えます。

●ライナーノーツより/久保田敏子(京都市立芸術大学名誉教授)
今改めて聴きますと、惚れ惚れするような素晴らしい爪音で、手の動きはまるで神技のようです。そして紡ぎ出された音楽には、単なる超絶技巧の披瀝ではなく、情趣が溢れ、人間的な温か味が宿っています。
衛藤公雄はまさにレジェンドの人です。これほどの人が、何故、埋もれてしまったのでしょうか? その足跡に迫った今回のCDの発売を機に、箏の爪音の美しさに全てをかけた箏曲家の、その輝かしい生命の記録を、今一度振り返ってみようではありませんか。

●ライナーノーツより/藤本 草(日本伝統文化振興財団会長)
衛藤公雄の音楽の最大の魅力は、その研ぎ澄まされた箏の音色=爪音にある。現代の箏曲界の最高峰と目される名手達と比肩する群を抜いた演奏力を、衛藤はその時代にすでに獲得していた。・・・各CDの冒頭には昭和36年10月1日カーネギーホールでのリサイタルにおける宮城道雄作曲「瀬音」と自作曲「雪の幻想」を収録、全米の聴衆を魅了した衛藤の箏の音色と演奏力の際立つ高さをこのデビューリサイタルの演奏に聴くことができる。
●この作品は書籍&CD同時発売です!!
衛藤公雄の波瀾万丈の生涯をたどるバイオグラフィ
『奇蹟の爪音―アメリカが熱狂した全盲箏曲家・衛藤公雄の生涯』
小学館刊 谷口和巳著  本体1,800円+税 2016年12月5日発売 

(やちゃ坊)