じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

文化庁芸術祭賞贈呈式(2018年)

平成29年度文化庁芸術祭賞贈呈式が2018年2月14日、東京・早稲田のリーガロイヤルホテルで開かれました。

当財団は「高橋翠秋 胡弓の栞 月詠抄」(CD3枚組)でレコード部門優秀賞を受賞しました。詳しくは前回の記事をご覧ください。→「高橋翠秋・胡弓の栞 月詠抄(つくよみしょう)」 - じゃぽブログ
受賞作品について画面で紹介があり、丹羽文部科学副大臣から理事長の藤本が表彰を受けました。

レコード部門の大賞は「冴 尺八 山本邦山〈音楽の軌跡〉」(CD5枚組)で、一般社団法人和傳社が受賞しました。プロデューサーの田辺洌山さんは山本邦山さんのご門下で、贈賞理由には「傑出したテクニックと創造力で、尺八の可能性を飛躍的に拡げた彼(山本邦山)の演奏は、今なお鮮烈な輝きを放っている。深い敬意とともにその音楽を知悉したプロデューサーだからこそ為し得た記念碑的作品として高く評価できる」とありました。

レコード部門では、もう一つ邦楽のCDが優秀賞を受賞しました。高校の箏曲部を舞台とするコミックから生まれた「この音とまれ! 時瀬高等学校箏曲部」(キングレコード)です。こちらは贈賞理由に「バーチャル世界と現実とが交錯する企画は興味深い。作中から新たな創作曲が生まれ、演奏映像のネット配信を通して、現役高校生の部活動を刺激している。録音制作物の新たな価値の創出につながることに期待したい。」と、これまでにはないと思われる評価が加えられていました。この動きには、私たちも期待とともに注目していきたいと思います。

芸術祭賞、音楽部門の大賞は尺八演奏家の善養寺惠介さんでした。2017年11月7日の「善養寺惠介 尺八演奏会」の成果によるものです。日本伝統文化振興財団賞の第6回受賞者でもあり、高橋翠秋さんとはかつて「三曲みなづき会」で古典の研鑽を重ねたご縁もあるということで、ツーショットをお願いしました。

おめでとうございます!
古典から、それぞれの時代が生み出した新しい曲まで。また故人となった巨匠から「この音とまれ」世代の若い演奏家まで、邦楽の多彩な面が評価された今回の芸術祭賞でした。今後とも演奏会で、CDで、またネット上でも、邦楽がたくさんの人に親しまれ、楽しんでもらえればと願います。

(Y)