じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「野澤徹也/杵屋正邦作品集」文化庁芸術祭(レコード部門)優秀賞受賞!

 昨年9月25日に当財団から発売したCD「野澤徹也/杵屋正邦作品集」が、令和元年度(第74回)文化庁芸術祭のレコード部門で優秀賞を受賞しました。

 三味線演奏家の野澤徹也さんが、現代邦楽の作曲家、杵屋正邦(1914-1996)の作品を演奏したCDです。

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優秀賞の受賞理由は次のとおりです。

文化庁芸術祭 優秀賞受賞理由]

杵屋正邦は、長唄三味線の演奏家・作曲家であり、三味線のほか箏や琵琶、合唱曲など千数百の作品を残している。本CDは、代表的な三絃(三味線)作品8曲を選ぶ。主演奏者の野澤徹也は、特定流派に属さず幅広く活動している。同人の日頃の演奏活動を生かした精緻で高い技量の演奏により、現代邦楽のCDとして高い完成度を示した。

  ブックレットの巻頭言で音楽評論家の石田一志さんは、「膨大な杵屋正邦作品のなかでも・・・(中略)・・・代表的な三絃作品の数々を巧みに選曲したこのアルバムは、現代邦楽のパイオニア杵屋正邦さん独特の決然としてかっこ良い音楽の再興の契機になるかもしれない。」と結んでいます。

 ブックレットには森重行敏さん(洗足学園音楽大学現代邦楽研究所所長)の曲目解説のほかに、「演奏者より」として各曲について野澤さんの思いが綴られています。

 そのなかには「・・・私の演奏している動画がYouTubeにアップされており、学生邦楽の三味線の人たちには憧れをもって試聴しているらしく、それを見て演奏にチャレンジする人が多いようで嬉しく思っています。」(三絃独奏曲「風」)とか、「・・・この曲は地歌三絃指定のせいか、全国の箏曲系の社中や学生などがよく演奏しているので、お手本となるような演奏を心がけました。」(地歌三絃二重奏曲「花簪」)といったコメントもあり、学生やアマチュア演奏家にも杵屋正邦作品は今なお人気が高く、それも意識しての演奏であることがうかがわれます。

 珠玉の杵屋正邦作品の、異次元の演奏力によるもっとも新しい録音を、多くの方々にお楽しみいただきたいと思います。

 (Y)