じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

コロナ明け、動画投稿サイトを活用するために

本日5月8日、新型コロナ感染症が5類感染症に移行したことで3年間に及ぶ不自由な生活が終わりを告げ、元通りの生活が戻ってきました。(ただし、個人の判断になったとは言えTPOに応じてマスク着用が必要とされています。)
この間、大きく変わったことの一つにネットを利用した映像によるコミュニケーションの浸透があげられます。オンライン会議という言い方が日常になったりしました。伝統音楽・芸能、幼児教育の世界においてもコロナ明けの活動のアピールにYouTubeなどの動画投稿サイトを活用してみたいものです。しかし、映像を録ってはみたものの使用した音楽の著作権の手続きが煩雑なのではないかと躊躇される方も多いと思います。当財団にも「発表会を撮影した動画を作ったのでネットにアップしたいがどういう手続きが必要か」という問合せを時々いただきます。
そこで、本日は音楽を使用した映像を動画投稿サイトにアップロードする際の権利処理について少しご紹介してみたいと思います。
まず、日本音楽著作権協会(JASRAC)の公式サイトにわかりやすい説明がありますので、これを参考にします。トップページから「音楽をつかう方」→「2. インターネット上での音楽利用」の中の「動画投稿(共有)サービスでの音楽利用」をクリックするとフローチャートが出てきます。これに自分の使用内容を当てはめていくと必要な手続きがわかるようになっています。なお、JASRACが管理する曲かどうかはJ-WIDという検索システムで調べることができます。
ここで注意を要するのがフローチャートの一番上にある「自作音源ではなくCD音源を使用する場合」です。この場合、著作隣接権(原盤を制作したレコード会社の権利)の処理が必須です。処理というのは、使用内容を申請して許諾を得るということです。上述のJASRACの解説ページに主要レコード会社の申請窓口が添付されていますので、自分が使用する音源がどのレコード会社のものかを調べて、ネット経由あるいは電話、ファックスで申請を行います。使用料を含めどのような条件で許諾されるかは各社の独自の判断になるため一概には言えませんが、最初の申請内容で折り合わない場合でもレコード会社とやりとりしながら使用可能な条件を交渉してみる価値はあります。最終的に許諾されない場合もあり得ますが、正規に権利処理をして動画をアップできれば、広く世界中に知らしめる告知効果は大きいものがあります。手順自体は難しいものではありませんので、ぜひ基本的な手続きを覚えていただければと思います。
なお、当財団から発行しているCDには当財団の自主制作音源のほかビクターエンタテインメント社(VE)の音源が多く含まれます。当財団に音源使用のお問い合わせをいただいた際に、VEの窓口をご紹介する場合があるのはそのためです。

(茶目子)