じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「駅メロ!THE BEST」

通勤通学の際、駅でふと耳にするメロディ……たとえば発車する際の合図であったり、列車の接近を知らせてくれる合図であったりと、普段から馴染んでいらっしゃる方も多いかと思います。そういったメロディが、熱心なファンのあいだでは「駅メロ」という言葉で広まっているそうですね。鉄道ファンを“鉄ちゃん”といいますが、いわゆる栄養分の「鉄分」ではなくて、鉄道好きの度合いを「鉄分が多い、少ない」と言うこともあり、これは私にもちょっと当てはまるかも。そんな「鉄分少々」の私が気になっている本をご紹介させてください。
「駅メロ!THE BEST――山手線、メトロ、京急山陽電鉄ほかオリジナル音源CD&楽譜付き――」(塩塚博 著/扶桑社刊)
著者の塩塚氏は作・編曲家でギタリスト。“鉄のみゅーじしゃん”として手掛けてこられた駅メロは数多く、この本に付属しているCDには、塩塚氏ご自身が生み出した名作が数多く収録されています。巻末に付属しているCDの封を開け、さっそく聴いてみます……それにしても「このメロディ、聴いたことあるある!」と思わず頬がゆるんでしまうトラックの数々。そのなかで私には馴染みの深い、総武線御茶ノ水駅ほかで使われているトラックがありました。爽やかなものが多い駅のメロディにしては、ここの駅メロのラストにちょっとだけブルーノートが入っていて、以前から気になっていたんです。そうしたら、この本での塩塚氏の解説にも「ロックやブルースに特有のブルーノート音階を使った楽しい曲」とありました。なるほど!
ほかこの本では「【基礎知識編】“駅メロ”って何?」「鉄のみゅーじしゃんの仕事」「塩塚メロディの源」「オリジナル音源CD 曲解説&楽譜」といったチャプターに分かれての内容も充実していて、興味深いお話の数々。「“駅メロ”って何?」にあったトリビアをひとつご紹介して自分の体験と重ねあわせてみますと……東北・上越新幹線が開業した際、ご当地車内チャイムとしてふるさとの民謡が各駅ごとに採用されていた、というお話。そうそう、駅に着くちょっと前に新幹線の車内からご当地民謡のメロディが到着間近であることを知らせるようになっていて、子供の頃東北・上越新幹線に乗る楽しみのひとつだった記憶が甦ってきました。平成3年(1991年)まで使われていたそうで、聴けなくなってから久しいですが、また復活してほしいものです。
こちら、音楽の好きな鉄道ファン(あるいは鉄道の好きな音楽ファンでしょうか?)には楽しい本です。もしご興味がありましたら、書店などでお手にとってみてはいかがでしょうか?

(じゃぽねっと編集部T)