じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

「三茶三味(さんちゃしゃみ)」

今月(2015年10月)23日(金)、24日(土)、25(日)の3日間にわたり、世田谷パブリックシアター「三茶三味〜三味線音楽を聴く〜」という公演があります。その名のとおり、世田谷パブリックシアターのある三軒茶屋、通称「三茶」で「三味」(三味線)の音をじっくり楽しもうという趣向です。

チラシから、少し引用してご紹介します。

本公演は、三味線音楽を「聴く」ことにこだわり、その楽しさを発見しよう、という催しです。三味線は、永禄年間(1558〜1570)に琉球から日本の本土に伝えられた楽器と推測され、以来、歌や語りなど、人間の声とともに、楽しまれてきました。さまざまなジャンルの三味線音楽があり、それぞれに、声の表現も三味線の音色も異なります。今回取り上げるのは、大坂生まれの義太夫節。江戸時代の前期、17世紀の終わりに成立した浄瑠璃であり、音楽によって、物語の世界を生き生きと描き出します。

公演は三部構成で、第一部が鼎談。公演日それぞれに異なるメンバーが登場し、三味線音楽のよもやま話に花を咲かせます。
第二部では、人間国宝芸術院会員)の鶴澤清治さんが構成する義太夫節「三味線組曲」を若手の三味線弾きが演奏します。
そして最後の第三部は義太夫節「卅三間堂棟由来」(平太郎住家より木遣り音頭の段:通称「柳」)。鶴澤清治さんの三味線、豊竹呂勢大夫さんの浄瑠璃で、素浄瑠璃の形式で演じられます。これは、呂勢大夫さんが日本伝統文化振興財団を受賞した際、記念に制作したDVDと同じ演目です。

じゃぽ音っと作品情報:第十七回日本伝統文化振興財団賞 豊竹呂勢大夫(人形浄瑠璃文楽 太夫) [日本伝統文化振興財団賞受賞制作DVD] /  豊竹呂勢大夫/鶴澤清治
CD「卅三間堂棟由来」も同時発売され、素晴らしい演奏が収められていますが、なかなか文楽の公演では聴けません。今回の生演奏は一聴の価値があります!
鼎談の一日目に登場する上方舞の山村友五郎さんも日本伝統文化振興財団の受賞者。お話の出演だけではもったいない気もしますが、作家のいとうせいこうさん、邦楽研究家の野川美穂子さんという3人ですから、お話がどんなふうに広がっていくのか興味津々です。
会場の空間構成は現代美術作家の杉本博司さんです。4年前の人形浄瑠璃文楽公演『杉本文楽 曽根崎心中付り観音廻り』も評判を呼びました。今回は東京では初公開となる杉本作品「月下紅白梅図」と、安土桃山時代の名品、長谷川等伯(1539〜1610)筆「四季柳図屏風」(ロンドンギャラリー所蔵)が、各曲演奏の背景を彩るそうです。等伯は「卅三間堂棟由来」の主人公、柳にちなんだ屏風ですが、三味線の音色と美術品がどんな出会いになるのか、それも楽しみです。
「三茶三味〜三味線音楽を聴く〜」について、詳しくはこちらをご覧ください。→ 『三茶三味(さんちゃしゃみ)~三味線音楽を聴く~』 | 提携 | 世田谷パブリックシアター

(Y)

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