じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

秋の夜長に、サブスク邦楽巡り。

昨今片手にのるスマホタブレットで世界中の音楽が手軽に楽しめる聴き放題の音楽配信サービス、サブスクリプション(サブスク)が音楽の聴き方の一つとして定着した感があります。今やWi-Fiやモバイル通信によるネット接続がどこにいても可能な時代、月に1000円程度の定額料(広告入りの無料サービスもあります)で世界中の1億以上の曲(サービスによって異なります)にアクセスできるのですから、これぞまさしく玉手箱。

サブスクはお目当てのアーティストや曲をお気に入りに入れて繰り返し聴くもよし、その時々の気分に合わせて検索をかけてランダムに聴くもよし、そして自分の興味に合わせて検索を使った深堀をするもよし、様々な使い方ができるのが大きなメリットです。今日はそんな中から、秋の夜長に、検索による邦楽巡りと参りましょう。

誰もが知っている邦楽曲、曲名は知らないが聞けばわかる曲といえば箏曲「六段」ではないでしょうか。手始めにサブスクサービスの検索窓に「六段」と入れて検索してみると、たくさんの音源が並びます。宮城道雄、中能島欣一、沢井忠夫、米川敏子といった大御所に混じって、見砂直照と東京キューバン・ボーイズの名も。また、原信夫とシャープス・アンド・フラッツと山本邦山のコラボ・アルバムから「六段くずし」、さらに端唄から栄芝の唄う「六段くづし」も並んでいます。そして、胡弓の入った地歌「六段」(阿部桂子)。これらを順に聴いていくだけでたっぷりと秋の夜長を楽しめそうです。

今度は趣向を変えて、お坊さんが唱える声明曲の中で法要の中でよく聞かれる「四智梵語(しちぼんご)」と入力して検索してみましょう。真言宗から醍醐寺天台宗から比叡山延暦寺の音源が並んでいます。国を越え、時を超えて伝えられる伝承のバリエーションを味わうことができます。

さらに民謡の定番曲「津軽あいや節」を検索してみると、高橋竹山、山本謙司、藤みち子といった三味線奏者、民謡歌手に混じって、細川たかし香西かおりなどの演歌歌手の名前が。これぞ人気の証。そして、なんと寺内タケシによるエレキギター版「津軽あいや節」も。聴き比べると寺内タケシの演奏がもっとも元曲とされる熊本・天草地方の「牛深ハイヤ節」、そしてさらに南方、奄美の「六調」を彷彿とさせるという発見。

皆さんもぜひ秋の夜長にサブスクを使った邦楽巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(なお、検索結果はサブスクサービスによって出方が異なります。)

収録アルバム例
(左から「六段」阿部桂子「四智梵語醍醐寺津軽あいや節」藤みちこ)
(茶目子)