じゃぽブログ

公益財団法人日本伝統文化振興財団のスタッフが綴る、旬な話題、出来事、気になるあれこれ。

国立劇場の建て替え問題に世論の喚起を

1966年に開場し、歌舞伎・文楽・舞踊・邦楽・落語などの伝統音楽・芸能をはじめ、現代邦楽の実験的演奏会やアジア諸国の音楽・芸能との交流の場として長らく重要な役割を果たしてきた国立劇場は、老朽化から建て替えが決まり、昨年10月29日の式典をもって閉場している。以来8ヶ月が経つが、2度にわたる工事入札が不調に終わり、事業者が決まらないことから整備計画はまったく進んでおらず、これを危惧する実演家団体などが声をあげ、マスコミもさまざまな問題提起を行っている。当事者である独立行政法人日本芸術文化振興会においても今年3月以降有識者による検討が重ねられているが、このままでは令和11年度末の再開場はほぼ絶望的で、日本の伝統音楽・芸能の現在と未来に大きな影響を及ぼす深刻な状況となっている。こうした現状の中、来たる7月27日(土)13:30より楽劇学会による公開シンポジウム「国立劇場の建て替え—各国の文化政策を参照して—」武蔵野大学西東京市)にて開催される。楽劇学会は、芸能を演劇・音楽・舞踊などの諸要素が結合した総合芸術として捉えて「楽劇」と名付け、楽劇に何らかの形で関わる人、あるいは強い関心を持つ人たちを会員とする学会。シンポジウムは第32回楽劇学会大会の第三部として、一般に公開して行われる。広く世論を喚起し、日本を代表する劇場の早期再開を促すために、こうした機会を捉えて行動を起こしていきたい。

(茶目子)